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つまり  作者: 石本公也
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つまり、行事は重要で 2ページ

清涼学園は、その広大な敷地から、動物がよく紛れ混んでいる。飼い主が逃がしたのか、飼い主の所から逃げて来たのかは不明だが、山崎さんは、よくそんな風に清涼学園に居る動物達を、寮の裏で飼育しているのだ。

山崎さんの拾って来た動物は多く、学園から一応費用が出ているものの、それだけでは事足りないらしい。

だから今回、俺と(つばめ)売り物にして賄おう。と言う考えらしい。

「まぁまぁ、怖い顔しないで。ひなあられあげるから」

じっとりとした目線め山崎さんを見ていると、山崎さんは俺に向かって、ひなあられの入った袋を差し出しながら、苦笑い。俺は黙ってひなあられを受け取る。

「具体的に、何を売るつもりなのか教えてくれませんか?」

「大丈夫よ。いかがわしい物じゃないから。普通に貴女達が着物着て小川の所でパンフレットみたいな写真を撮るだけだから。あ、そう言えば男の子の服も用意したわ」

「へぇ。面白そうですね。」

「あら、意外とノリノリなのね」

「慣れたんです」

まだ自分の意思で性転換出来ると知らなかった頃には、慣れない女物の服で、その後には、夏の水着や浴衣、劇での服に、正月に愛香にに着せ替え人形にされてたからな。コスプレじみたことには、ーーーー不本意ながら、慣れてしまった。

「それに、(かざる)達はこういうコスプレみたいな事は慣れてなさそうですから」

「……ま、いっか」

俺と山崎さんでそんな事を話していると、和樹達は、ようやく雛人形を見飽きた様だ。それぞれ、自分達の部屋に戻り始めた。

「かかり、いこっ」

階段の方へと向かいながら、燕が俺に声をかけた。俺は軽く返事をして近寄る。

「まさか寮に雛壇を飾るとはなぁ~。もしかしたら、この清涼学園は、近い内に共学になるかもしれないな」

階段を登りながら、修がこんな事を言う。だが、共学になった所で、入学してくる女子はいないと思うぞ。

階段を登り、優太達と別れ、自分達の部屋に戻って来た俺は、靴を脱ぎながら、

「そう言えばさ、さっき山崎さんがこんな事を言っていたんだけど……」

と、燕にさっき山崎さんとの事を話した。

話を聞いた燕が、最初に発した言葉は、

「ひなあられ頂戴」

だった。取り敢えず俺は無言でひなあられを与える。

「しかし気分は良く無いね。引き延ばしポスターみたいに壁に貼られるかと思うと」

ひなあられをついばみながら、ぶーたれる燕。俺は素早く部屋に入って、ブレザーを脱ぐ。

「学校が管理している寮で、そんな事をする人はいないと思うけど」

学校が管理していなかったなら居そうだけど。


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