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つまり  作者: 石本公也
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つまり、男達の願い?5ページ

チョコレートを手作りする。

こう言うと、まるでカカオ豆を発酵、焙煎して、砂糖や粉乳を混ぜてチョコを作る様に聞こえるが、決してそう言う意味では無い。あしからず。

「で、適当な材料は買って来た訳だけど…何作る?」

清涼学園の寮。俺と燕の部屋。買って来た材料をテーブルの上に載せて、俺は燕に問いかけた。燕は絵本に出て来そうなうさぎさんがプリントされたエプロンを着けながら、気だるそうに

「定番のトリュフチョコで良いんじゃない?大量に作らなきゃ駄目だけど、あれ意外と簡単だし」

と言った。

「あの丸っこいのか……確かに、大量に作るのに、あれ程適した物は無いね」

買って来た大量のチョコを包み紙から取り出す。そんな作業をしながら、俺は

「そういやさ、作り方とか、知ってるの?」

と、横で湯煎の準備をしている奴に問いかける。その準備をしていた燕は、俺を見て、

「今の時代、インターネットで一発だよ。それよりも、髪。結んだら?」

と、頭を指差しながら言って来た。

「ん。えーっと、髪ゴムはっと」

「はい」

「ありがとう。……でもやっぱ、青色のがいいな」

「べつにいいじゃん。外に出掛ける訳じゃないんだし。それに、黄色もなかなかだよ?」

チョコレートを細く刻みながら、燕は言った。俺は適当に髪をくくると無塩バターと泡立てていない生クリームを鍋に入れた。それからはぁ、と溜息を吐いて、

「なんでこんな面倒な事してんだろ……」

と、愚痴も吐いた。

「面倒って……せめて渡した時喜ぶかな?くらいは考えても良いんじゃない?」

燕は、呆れた声を出す。そういえば、燕が女になった五月から、何回こいつの呆れた声を聞いたんだろう?

もちろんそんな疑問は胸にしまい、俺は燕に一言いった。

「いや……だってあいつ等、たこ焼きをチョコレートでコーティングした物でも喜びそうじゃん」

「ああ……」

その後、口数が少なくなった俺達は、唯、淡々と作業を進めて行った。

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