つまり、男達の願い? 1ページ
うーん、物語が現実の時間を越えたと思ったら、今度は現実が物語の時間を抜かしそう。
最低限のペースで投稿を心掛けないと。
今回の話、久しぶりに書いている時のテンションが高かった(笑)
それは二月。一年の中で、最も短い月。四年に一度、一日だけ長くなる月。草花に目をやると、寒い季節が終わるのを、今か今かと待っている様に蕾を膨らませている。新しい始まりの春に向けて、ワクワクとした空気が積もり始める。二月。
俺達、つまり何時もの六人は、今日も、寮から校舎迄の道を、のんびりと歩いていた。
「結局、今年はそんなに雪降らなかったな」
後ろを歩いていた和樹が残念そうな声を上げる。
「子供みてぇな事言うなよ。後少しで高二なんだぜ。俺等」
ついに180に身長を伸ばした修が笑ながら言う。そう言えば、周りの男子達は、最近メキメキと身長を伸ばしている。段々と、話す時の顔の角度が、大きくなっている。
「二年かぁ。時間が経つのは早いな」
優太がしみじみと言う。
「おじいさんみたいな事言うね。そして三月の方が似合いそうな事ばっか言ってるね」
「燕、そんな事言ってるとあっという間に学園卒業するぞ」
飾が燕に向かって言う。
「最近は、土曜日になると中学生が慌ただしく動いてるよな」
俺は、乾燥した空気を、肺一杯に吸いこんで、ゆっくりと吐き出しながら言う。
「そりゃ、模擬試験会場として使われるからだろうな。公立の中学とかから、何人も来てる。……今迄は、滅多に無い女子を見るチャンスだった…」
「和樹、結構引くよ……最後のセリフ」
「んなぁっ⁈つ、燕!お前だいぶ感性が女子になったからって、周りに野郎しかいない苦しさを忘れたのかっ⁈」
「今は周りに野郎しかいないのは恐怖だからね?そこんとこわかる?」
後ろで燕と和樹が言い合っているのを聞きながら、俺は大きくあくびをした。
目の前にそびえたつ校舎。よく見て見ると、今迄気が付かなかったが、あちこちコンクリートが禿げている。
「校舎って、実は結構オンボロなんだな」
「猛、校舎ってだいたいオンボロな気がするぞ、俺は」
俺の呟きが聞こえていたのか、優太が俺に向かって言う。そのまま俺達は校舎の中に入り、上履きに履き替え、自分達のクラスを目指す。
「二月ってさ、何にもないから、落ち着けそうだよね」
一年四組の教室の前で、不意に燕が言った。
「そうか?実は結構騒がしいかもしれないぞ?」
燕が言った事に、そう返しながら俺は教室の扉を開けた。
す る と
「神鎌!山瀬!俺達にバレンタインにチョコをくれ‼」
クラスの連中が、土下座していた。