つまり、取るに足らない他愛も無い日常 3ページ
「みなさんまだ少しお正月気分でいるでしょ。えーでもね、えー今日からみんな気を引き締めて行かなきゃ…………」
禿げ上がった。 頭。
「それからね、えー、新聞でみた話なんですけどね、えー…………」
段々と眠くなってくる。 話。
「えーこんな風にえー、君達も、えー、一生懸命に物事に取り組めば、えー無理だと思った事も達成出来る。えーそう言う事なんですよ………」
始業式、や終業式、はたまた学校の集会で、『生徒が思う無くてもいいもの』。校長先生のお話は、俺達に怠慢感を感じさせる。
何時の間にか後ろの方から会話が聞こえ、ガヤガヤと騒がしくなっている。
(いいなぁ~)
俺はあくびを噛み殺しながらそう思った。背の順に並べば、必然的に俺は、列の前、校長先生の表情を確認出来る位置にいるからだ。
そんなところで雑談なんか、出来る訳がない。
「じゃあ、これで話はお終いね。えー副校長先生。次お願いします」
ようやく終わったか。あんのハゲ、たっぷり十分も話しやがって。後ろからも、ほっ。ッと声が上がる。校長先生がマイクの前から離れて、代わりに副校長先生がマイクの前に立つ。
「みなさん、三学期も怠けないように。それじゃ、諸連絡は教室で担任の先生から聞いて下さい。これで始業式を終わります」
副校長先生は、とっても良い先生だ。
教室で放課後。
ガヤガヤとした空気の中、俺は宿題を吐き出してさらに軽くなった鞄を抱えて立ち上がった。別にこれから何をする訳でもない。ただ寮に帰るだけだ。
飾と燕も加わり、三人になった暇人達は、寮に向かう道を、のんびりと歩いている。
「そーいえば、この冬休みで戸籍変えたんだよね、私」
ふと、俺の横を歩いている燕が言った。
「えっ?戸籍を変えた…?」
反対側に居た飾が驚きの声を上げる。
「そうだよ。男から女にね。今まで寮ぐらしだったから、戸籍とか考えて無かったし、えらく慌てたね」
「ほーう。てことはもう普通の女の子になったのか、かかり、お前ももしかして…」
「変えてねぇよ。性転換する度に戸籍変えてたら、面倒とかそういうレベルじゃないよ」
俺は空を見上げる。青い空の中にポツンとある雲が、なんだかたい焼きの形に見える。お腹減ったなぁ。
「戸籍変えたって事は燕さ、清涼学園にいられないんじゃない?」
俺は空を見上げたままポツンと言った。
「あぁ、それは大丈夫みたい。なんでか良くわかんないけど、例外って事で良いでしょ」
燕は笑顔で言った。明るい、やや茶が入った黒髪が風で揺れる。俺は、暴れる自分の真っ黒な髪を抑えつけて、飾と燕と、寮の中に入っていった。