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つまり  作者: 石本公也
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つまり、里帰り。 3ページ

着せ替え人形になるのは、嫌なもんだ。

「こういう服を着てみたいと思う?」

ってフリフリがついた服を持って聞いてくるから、俺の意思を尊重してくれているのかと思うのだが、俺が口を開く前に

「ほら早く着替えて!」

と服を押し付ける。

これでは着てみたいも何も無い。だがそう言う服に限って第三者の反応は

「凄く似合ってる」

「可愛い…」

だから困ったもんだ。

「まさかゴスロリまでも可愛く着こなすとは思わなかったわ。完璧にネタだったもん」

笑いながら愛香が言う。俺はこんな服をどうして所持していたか気になるんだが、質問してもはぐらかされてしまった。

「愛香、人で遊ばないでくれ」

俺は溜息を吐いた。その時、リビングのドアが開いて、大人達が帰って来た。

大人達は俺の方を見て、

「…猛、なんだその服は…」

と困惑しきった表情で言った。

俺はどう答えたら良いかがわからなかった。








「しかし、着物もかなり似合ってるな。二人とも綺麗だぞ」

陽の叔父さんの、どうせ色々と着替えさせているのなら、正月らしく着物にしたらどうだと言う意見により、親戚揃っての初詣。

俺と愛香は、振袖姿で歩いている。俺らのすぐ後ろに陽と翔。で、更に後ろに親達。空は見事な快晴だ。

「よくもまぁこんな綺麗な和服が幾つもあったな」

俺はそう呟いた。神社に近くに連れ、段々と人が増えてくる。流石は新年だな。

「今年はおみくじ、誰が一番良い結果なんだろ?」

後ろから翔が話しかけて来た。

「そうだね、去年は確かタッケが中吉で一番よかったんだよね?」

愛香が言った。しかしよく覚えてるなぁそんな事。

「大吉も大凶もいなかったからな。叔父さん達含めて」

陽はそう言って笑う。お前もよく覚えてるな。

「少なくとも去年は、こんな身体になるとは書いてなかったよ。神籤(みくじ)ってのに…」

「猛、占いだから、予言じゃないから」

などと話しているうちに、神社に着いた。別にたいして大きくも無い、どっちかと言うと小さな神社だ。

「さぁ、今年は誰が一番良い結果かな?」

「その前に参拝するよ。ほら、向こう最後尾だから」

参拝客の一番後ろに並んで、俺は横にいる愛香に話しかけた。

「やっぱり正月だね。和服の人が結構いる」

「確かに。でもタッケ見たいに黒髪で腰まであるって人はいないね。ってより、タッケ並に真っ黒な人も少ないね」

「愛香も真っ黒じゃん。短いけど」

「まぁね」

愛香はそう言って、毛先を指でくるりと弄った。

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