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つまり  作者: 石本公也
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つまり、里帰り。 1ページ

この話はちゃんと「つまり」です。


「そういや、おじさん達はお兄ちゃんがお姉ちゃんになったのをまだ知らないんだよね?」

一月、玄関のまえで(かける)がふと言った一言に、俺、母、父の三人は固まった。

新年になって、だいたい八ヶ月振りに家に帰った俺は、今度は親戚に会うとかで、母方の実家に向かおうとしている。翔の狙いは確実にお年玉だろうがな。

でも確かに叔母さん達は俺が女にもなる事を知らない訳で…………この先何回ぐらいこの身体の説明するんだろうな。

「猛、どうするんだ?」

親父が俺をまっすぐに見ながら言った。

「どうするって…普通に説明するよ。幸い俺は自分の意思で男になったり女になったりするから、見せた方が早い」

俺はぶらっきぼうにそう言った。

やろうと思えば、その場で性転換出来るから、人に説明するのは簡単だ。まぁ、変わるのは身体だけで、服は変わらないから変態の構図はどうしても出来てしまうのだが…。

大きな鞄に、男物と女物の服を入れて車に乗り込む。

車が発信すると、俺は外に目を向ける。そういや、まだ今年雪降って無いんだよな。

「兄ちゃん。陽君どんな反応するかね?」

車の中で、翔がニヤリとした顔で聞いて来た。陽君ってのは、いとこの事だ。

「この一年でいろんな事知ったかもしれないしなぁ。驚くだろうけど、もう弄れないだろうな」

陽は俺と同い年なのに、ウブな奴だったからな。でも流石に高校生になると無駄なもん覚えてるだろう。今年は去年みたいな慌てぶりは見れないだろうな。

「そうかなぁ?だとしたらつまんないね」

翔は笑ってそう言った。

車で家から二十分。案外近いところに、母の実家はある。

車から降りて、玄関から中に入り、リビングの扉を開けると、親戚の顔が幾つも並んでいた。

「おっ猛君。明けましておめでとう」

まず最初に叔父さんが口を開いた。

「あっ明けましておめでとうございます」

後からリビングに入って来た翔と共に新年の挨拶。

「おばあちゃん明けましておめでとう」

翔が祖母に向かって言う。俺の後ろから両親も入って来て、リビングが騒がしくなる。

「明けましておめでとうタッケ」

声をかけられて、横を向けば、従姉妹の愛香が居た。

「明けましておめでとう」

なんだか印象が変わったなぁと思いつつ、俺はそう返した。

するとだ、いきなり愛香が

「タッケ、……身長、まだ160行かないの?」

ニヤニヤしながらそう聞いて来た。

「…………っるっさい」

思いっきり反応したらずっといじられてしまう。我慢だ…我慢だ。

「あら~愛香ちゃん、綺麗になったね~」

その時、俺の後ろから両親がやって来た。

「あ、叔母さん。明けましておめでとうございます」

「明けましておめでとう。はい、これお年玉」

「あ、ありがとうございます」

目の前でお金の入った袋が手渡される。

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