つまり、クリスマスって訳。 7ページ
ゲームをやめて、テレビをつける。テレビの内容もクリスマススペシャルだらけだ。
「料理暖まった?」
振り返って俺は聞いた。
「おう。さっさと席つけよ。じゃねぇとチキンやらねーから」
「それは困る」
チキンが無くても腹一杯食べれるだろうが、チキンを食べなくては雰囲気が出ない。
「いただきます」
テレビから流れるスペシャル番組を尻目に、俺達は食事を始めた。コップに入った炭酸飲料で乾杯し、ピザをつまむ。食事の最中も会話が弾み、楽しい雰囲気が崩れぬままにパーティーは進んで行く。ケーキを食べながら、いつからか信じなくなったサンタに会えなくても、クリスマスは楽しめるものなんだな。そう思ったその時、
パァン。
と言う音とともに、俺の顔に何かがかかった。そして鼻にくる火薬の匂い。
「和樹、クラッカーを人に向けて打つな」
俺は目の前に座って居るやつを睨んだ。睨まれた和樹はふいと視線を外した。
「でもボーっとしてるやつが目の前にいたら悪戯したくなるだろ?」
目をそらしたまま和樹が言った。したくなるだろってお前なぁ。
俺は溜息を着いて、ケーキの最後の一口を口に運んだ。
「なぁ、ホントにいくの?」
コートを羽織って、暖かい格好をして玄関に居る俺達。
「行くの?って、かかりお前が言ったんじゃねぇか」
靴を履きながら飾が言った。俺は冗談のつもりだったんだがな。
「飾、そうは言っても俺は本当に行くとは思わなかったぞ。………時計塔に星を見に行くなんて」
そう、俺達は今から、イルミネーションを眼下に星を見ようと、時計塔に行こうとしているのだ。
「なんだ、冗談だったのか。でも行くぞ、暇だから」
表情をまったく変えずに修が言った。
「暇だからって…まぁ良いか、綺麗だし」
「なんだ、結局行くのか」
優太のつぶやきを無視して、俺達は玄関を出る。俺は大きく息を吸った。外のつめたくてかんそうした空気を吸い込んで、肺が心地よい。
「うう~寒い。早く行かない?」
マフラーに顔をうずめた燕が言う。よく見ると、鼻頭が真っ赤だ。俺達トナカイかと笑って移動し始めた。
「あーなんかテンション上がって来た。よし!なんか歌うか」
時計塔に向かう途中で、和樹が突然言った。
「歌うのは別に構わないが、和樹、お前まともに歌わないだろ」
修が前を歩きながら言った。
「アレンジだ、アレンジ。それに正しい歌詞歌おうがなにしようが、楽しければ良いんだよ」
「聞かせて和樹。なんか楽しくなる歌」
「なんだよかかり。…お前、俺のファンになったのか?」
「それは無いよ」
その後、時計塔への道から歌声が流れ始めた。それは一人が声を出しているのではなく、何人かが歌っている声だった。
夜道に響くクリスマスソングが、晴れ渡った夜空に溶け込んで行く。




