つまり、クリスマスって訳。 5ページ
「っくしゅん!」
十二月の第二週。ストーブの前で居眠りをして、案の定風邪を引いた俺は、ベッドの上でただただ天井を見つめていた。只の風邪の筈なんだが、無駄に身体が重たい。指ですら意識を向けないと動かせない。
「猛~起きてる~?取り敢えずおじや作って……って、今はかかりか」
頭の上から燕の声がする。と、目の前に燕の顔が出てきた。少し心配そうに顔を覗き込む燕。顔色を伺うのは良いのだが、燕の頭から垂れる髪が、俺の鼻をくすぐって…
「っくしゅ!」
「うわっ汚っ!」
ひどい事になった。
「かかり、いくらなんでも人の顔の目の前でくしゃみしないでよ…」
「……ごめん」
呆れた様な、困ったような顔を向けられて、俺は謝った。
湯気の立つ鍋を机に置いて、燕は顔を拭いた。俺は腕に入らない力を入れて、上体をお起こす。
「ホントにただの風邪?すごく顔色悪いよ?」
燕が鍋の中身を口に運びながら訊いてきた。ところでその鍋、俺のってさっきいってなかった?
「インフルとかじゃないのは確か、重たい風邪じゃないって言われたんだが…」
「ふーん。とりあえず、おじや食べなよ」
燕が言うので、俺はさらに腕に力を込める。が、上手くいかずにベッドから転落してしまった。
「だあっ!」
「だ、大丈夫?」
そのあと燕に助けてもらい、無事に昼食を終えた。
体が動かないってのは、それだけでかなりつらい事なんだな。
そして目が覚めてしまうと、なかなか寝付けない。ただただボーっとしているしかないのだ。と、
「見舞いに来たぞー」
玄関のほうから、声が聞こえた。
そしたドタドタという足音の後、部屋のドアが開き、和樹達が部屋に入って来た。
「見舞いって、別に骨折った訳じゃないんだからさ」
「な。早速そういう事言うなよ」
部屋に入って来た四人に向かってやる気のない疲れた声を出すと、優太に睨まれた。
「とりあえず、果物とか買って来たよ。かかり、体動かないんだったら、あーんしてやろうか?」
飾がバナナを取り出しながら聞いて来た。
「…………じゃあ食べさしてくれ」
「えっ?」
さっきの言動は冗談だったのか、飾が驚いた声を出した。
「どうした?くれるんなら早くくれ。出来ればそこのミカンが良い」
「お、おう」
仰向けで寝ていると、目の前にミカンが出てくる。俺は口をあけ、ミカンが口の中に入ると、ゆっくりと咀嚼した。
「体が動かないのは嘘か?元気そうだが」
「ん、体が動かないんじゃなくて、上手く力を入れられないだけだよ。頑張ればそりゃ動く」
最後のミカンを食べさしてもらいながら俺は言った。
「じゃあ寝るか」
「は?ちょっと人が見舞いに来てるのに眠るか普通?」
俺の言葉に、修がつっかかった。
「いいんだよー別に。それに今寮にいるんだし見舞いもなにも無いでしょうに」
そう言って俺はめを閉じた。修達がまだ何か言っているが、無視する。暫くして、俺は深い眠りに落ちていった。
昨日50000アクセす達成したのに投下出来なかった。なんか悔しい。
次回は、まだ未定です。