つまり、クリスマスって訳。 2ページ
「何?」
俺は燕の方を向いて言った。
「ケーキでも作れば良いんじゃないかな?」
その一言が、俺達をその場に縫い付けた。
クリスマスケーキ。サンタのマジパンが乗っかった可愛いらしくデコレーションされたケーキ。クリスマスにしか顔をださない、子供の目を輝かせる存在。それを
「俺達で作ろうってのか?」
俺は燕をまっすぐ見て言った。
「俺達?ケーキ作るのにそんな人数要らないから、[私達]で作るつもりだったんだけど…」
燕は人差し指を口に当てて、小首を傾げながら言った。いつ覚えたそんな仕草。
それよりも、こいつの言ったと言葉。明らかに、俺と燕でケーキを作りますと公言したな?
「まじか?なら俺達は装飾品パーティーグッズを揃えるか」
修が飾達を見渡して言った。頷く飾達。
「んじゃ、百貨店とかで揃えるか」
「かかり、どんなケーキを作るか考えない?」
「え?あぁそっか。デコレーションするなら、やっぱりサンタとトナカイは必要かな?」
「そっちもだけど、普通のクリームかチョコクリームかとか、フルーツを乗っけるかとか、そっち」
「あ、そっちか、……そうだね。生クリームでいいと思うよ。普通ので」
クリスマスパーティーの事について話す俺達。たった一日のための話し合いは、面白く進んで行った。
「二十五日迄にやる事が結構あるな」
やる事を書き出した紙を見て、勇太が言った。装飾品一式。ケーキの材料。クラッカー(食べる方では無い)。思ったよりも忙しくなりそうだ。だが、今年のクリスマスは、とても面白くなりそうだ。
クリスマスケーキかぁ。どんなのにしようかな。紙に理想を描いてゆく。白いケーキの上には、サンタとトナカイと、メリークリスマスと書かれたチョコレートでも乗っけて……
「落書きをするなっ!」
バンっ!と頭を叩かれた。顔を上げると、少し怒った先生の顔。やべっ見つかっちった。
俺はページを変えて、黒板に書いてある事を急いでかきうつした。飾が横から視線を送って来たので、俺は首をすくめてみせた。
とにかく今は、数学を頭に入れないとな。考えたら、明日から期末テストだ。クリスマスはその後。
俺がそんな事を考えていると、先生が、黒板の、まだ俺が書き終えていない所も黒板消しで消し始めた。




