表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つまり  作者: 石本公也
52/126

つまり、クリスマスって訳。 1ページ

いよいよ物語が現実を抜かしましたw

町が、国が、人が、どことなくウキウキして見える。駅前を通れば輝かしい光の装飾があり、お店には大きな偽物の木が売り出される。そう。十二月にある、子供の頃にほとんどの人が楽しみにしていたであろう、クリスマスが近づいているのだ。

だが、高校生になると楽しみになるクリスマスも、妬ましいものにしか感じない人達もいる。それは、教室を見渡せば、嫌でもわかる。先日の交流会で、はたまた他の場所で出会いをして、予定が埋まっている者もいるが、それは少数だ。

 歓喜と怨念の混ざったような教室から逃れるように、俺と燕は屋上の前の踊り場にいた。屋上の外に行ったほうが安全なのだが、外は寒いし、第一鍵がかかっている。教室はストーブがついていて暖かいのだが、昼休みに教室にいたら、怨念渦巻く生徒にまとわり憑かれるので、寒い中マフラーに顔をうずめて、誰も来ませんようにと願いながら過ごしている。無駄に広いこの学園にも始めて感謝した。

「はぁ~っ」

かじかんだ手先に息を吹きかけて暖める。

「寒いねぇ」

屋上のドアに寄りかかりながら燕が言った。そうだねと俺は返した。

「クリスマスだからって、少し浮かれる程度でいいのに、みんな躍起になってさ」

俺はため息がちに呟いた。お祭り的みたいにさわぐですませられないのかねぇ。

「無駄に外がロマンチックに装飾されているからってね」

燕も困ったように笑う。

「みんなムードに流されるんだよな。まぁ、恋愛にはムードも重要なのかもしれないけど」

「どこかに出かけるのも疲れるし、寮でゆっくりするのがいいね」

「それは年末が自然と寮でまったりすることになるよ。せっかくだし、イルミネーションを眼下に時計塔から星でも見ようか」

「それもなかなかロマンチックだね」

話していると、鐘が鳴ったので、俺と燕は教室に戻る事にした。





「つまり……どうゆうこと?」

「ゆっくりしたいってこと」

和樹たちに俺達の意思を伝えると、ほんの少し和樹たちは固まった。またどこかに連れていく計画でもしていたんだろうが、教室の男子達から刺さるような目線を浴びている俺たちは小さいぱーちぃーで十分だ。

「しかしクリスマスだってのに部屋でゆっくりするだけだなんてつまらんな」

優太が顎に手を添えて言った。

「でも遊びに行くのはいやだって言うしよ」

とぶぅ垂れる飾。

「ほかにはないのか?クリスマスらしいことって」

修が言った。イベントには手を抜かないなぁこいつら。

そう言いながらも、俺もこのままだとなぁ、的なことは考えていた。しかし案が思いつかない。どこかに遊びに行かなくても、クリスマスらしい雰囲気が楽しめるものはないのかな?

「えーっと」

不意に、燕が声をあげた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ