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つまり  作者: 石本公也
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つまり、大変な事に… 8ページ

この体質になってからだいたい七ヶ月経っていて、別に女物の服にれていない訳じゃないが、このミニスカートと言う物、全く落ち着かない。

今までは、見た目の違和感いわかんを消すために女物の服を着ていたから、殆どがズボン系だ。スカートなんて、制服と劇の衣装いしょう位でしか着た事ない。それに、男子校に居た為に女子のオシャレと言うものを全く知らない。だから、この黒タイツも落ち着かない。

服が一通りコーディネートし終えた様で、今度は髪がいじくられる。落ち着かない。全く持って落ち着かない。

「やっぱり髪の毛の先端は少し内側にクリンってさせた方がいいなぁ」

体の前におりている髪を、ヘアアイロンで整えて行く彩森さん。されるがままの俺。

「これで良いかなぁ?」

俺の顔を見てつぶやく女子三人。

その後これで良いかと頷いて、外で待っている人達を呼びに行った。

しばらくして、俺の所に戻って来た彩森さん達は、俺を見ると、

「えっ⁈なんでもう落ちてるの?」

声を上げて目の前に迫って来た。本当に目と鼻の先にだ。俺はおどろいて仰け反る。だが彩森さんは俺の肩をガシッと掴んで更に顔を近づける。

「ちょ…ちょっと…」

俺が困惑の声を上げると、彩森さんは胸におりている俺の髪を持って、

「さっきかけたはずなのに…」

と呟いた。

「凄く強いストレートだね…」

佐山さんも呟く。見ると、先程少し丸めて貰った毛先が、今はもうまっすぐに降りている。驚いている理由はこれかと思っていると、後ろから男子達がぞろぞろとやって来た。奴らは俺を見るなり

「……………誰?」

記憶喪失きおくそうしつになった様だ。


なんてのは嘘で、すぐに、やれ可愛いだのなんだの散々聞かされた褒め言葉を言い出した。

俺は鏡を見ていないから何とも言えないが、まぁ多分大丈夫だろう。こいつらも褒めてるし。それよりも、彩森さん達が離れてくれないと、俺、動けないんだが。

「で、どうして急に女の子になったの?」

ずっと部屋の中でこちらを見ていた秋永あきながさんが問いかけてきた。

「そうだった。ねぇ、さっきまでホントに男の子だったよね?」

彩森さんが俺から離れて、座りなおして聞いた。

「今から軽く説明するよ」

俺も座りなおして、そして、まっすぐ彼女たちを見て、説明を始めた。








 「ふぅ~」

一通り説明をして、落ちいた俺は、何か飲み物を飲もうとロビーに出た。温華の五人も、納得してくれたようだ。さっき部屋に戻って行った。自販機でカフェオレを買って、椅子に座ろうとした時、天冠てんがんさんが目に入った。隣に座ると、天冠さんも気がついた様だ。

「そのカフェオレ、最近発売したやつだよね」

話しかけて来た。

「うん。天冠さんは…コーヒーなんだ」

俺はカフェオレにストローをみながら言った。

「まぁね」

そう言って天冠さんは笑った。

「どこか中性的な話し方をするなと思っていたから、何かあるんだろうとは思っていたけど」

「まさかこんな体質だとは思わないよね」

俺は天冠さんの言葉をぐ。天冠さんは笑ってコーヒーを口に含んだ。俺は気になっていた事を聞いてみた。

「ところで、天冠さんって…………男性?」

「ぶっ⁈」

コーヒーが吹き出る。俺は驚いて天冠さんを見るが、噎せてしまっている様だ。背中をさすってやって落ち着かせると、天冠さんはこちらを向いた。そして、


「……………………何で分かったの?」


と言った。

「えと…なんて言うかな。女子のいとかを強制された人って、どこか硬いと言うか、不自然って言うか……」

俺がそう言うと、彼は不安そうな顔をする。

「でも、俺…私以外気付いてないみたいだし、ほ、ほら、こっちも女子になったり男子になったりで色々やってるから……」

そう言うと、少し安心した様で、彼は座り直した。いつからおこなっているのかその姿勢は、女の子のそれである。

「でも、どうして温華に?」

そう尋ねると彼は、息を吸って、天井を見た。

「……交換条件みたいな物で、家が財政的に危なかったらしくて、それで、学校に相談に家族で行ったらさ、その時に校長先生に、『その子を我が校に入学させると言うのなら、協力致しましょう。入学させるだけで良いので』って………」

「………………」

近くで見ても、確かに『美少女』だよなぁこの人。天冠さんには申し訳ないけど、その校長先生の判断、正しいと思う。

俺はカフェオレを飲みながら思った。


ピリリリリリリリリ


その時、携帯けいたいが鳴った。みて見ると、そろそろ宿屋を出るから部屋に戻ってこいと書かれてある。俺はその事を天冠さんに伝えて、荷物を取りに部屋に向かった。







「じゃあ、またね!」

佐山さんがそう言うと同時に、電車のドアが閉まった。俺達はその車両を見送って、今学園に帰っている途中だ。

宿屋は結構楽しんだな、やっぱり。

「たった二日で、駅前もこんなに変わるのか」

不意に修がつぶやいた。顔を上げると、イルミネーションがあちこちに飾られている。

「本当だ。まだ十二月はいるって時なのにな」

飾が言った。

俺はふぅっと息を吐いて、見えにくいものの、息が白くなる季節きせつである事を確認した。

五十話超えて浮かれて少しだけ長いです。

が、何かやっちまった感があります。

さぁ次回は、季節の行事。

お楽しみにね。

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