つまり、俺は女になったのか 4ページ
この小説を少しでもよんだひとに、精一杯の感謝を。
清涼学園の寮は、学校の北のほうにある立派な建物である。
中等部から大学部まであるもんだから、4階建てなのにかなりの広さがある。しかも一部屋に二人という決まりがあるにも関わらず、寮は満員に近い。もう少しでかくなればイイと思うんだが、そこは予算という厳しい現実があるんだろうな。
そんな寮の一室に、俺ら六人は集まった。
「フーン、つまり、男の時も女の時も身長はたいしてっ⁈」
「身長だけじゃねぇよ」
和樹が脛をさすっている。自業自得だ。
「でも他のとこは男と女でちょっと違うんだろ?全く同じなのは身長だけなんだろ?」
「うるせえよ!確かに腹とか脚とかちょっと違うし筋量も減ってたけど!でもほぼ一緒だっての!」
「うるさい怒鳴るな‼」
優太が一喝し、蹴りが飛んで来る。
その後、俺と和樹は落ち着いて蹴られた頬をさすっている。
「成る程……それじゃ、お前が変わった最大の特徴は、性器と、その髪ぐらいか」
飾が顎に手を当てて、ふむふむと頷いた。俺は背中に流れる黒髪に目をやる。手櫛で軽く梳いてみると、サラサラと綺麗に流れ落ちた。
「……いやさ、目立たないだけで、確かに女子になってるんだよ。なんて言うか、こう、柔らかいって感じで……さ」
身体測定の時、俺はどうしていいか分からず、どんな風に立っていれば良いのか分からず、高梨先生にされるがままになっていた。
正直、身長の数値以外余り覚えていない。
にしても、神様の気まぐれにしても、なんでこんな風になったのかねぇ。
その時、あまり喋って無かった優太がずいっと身を乗り出し、この場の全員に向かって言った。
「ちょっと思ったんだが、この女の子の時に猛っておかしくないか?」
この一言で、状況整理の為の話し合いは、
「確かに猛じゃおかしいな」
「どんな名前にする?」
「沙耶ちゃん?舞ちゃん?どうする?」
女の時の俺の名前決めの話し合いになったのである。なんなんだこれ………
……………
………
…
…
………
……………
しばらくして、俺の名前が満足いくものになったのだろう。飾がその顔に笑みを浮かべて俺の前にいる。因みに俺は、話し合いの最初の段階ですでに弾き出されていた。
「では、お前の名前を発表する!」
声高らかにあげて飾がまっすぐに俺を見る。
俺はもうどうすればいいのか分からないから、長い黒髪の先をいじっていた。
「お前の名前は神鎌 香架理だぁ!」
名前。当て字にも程があるだろ……。あ、でもかかりって響きは何だかしっくりくるな。漢字が気に食わないから、これから平仮名で使おう。
まぁ勿論、この名前になったらの話だが。
「どうだ?なかなかの物だろう」
飾は、すんごく得意なってるようなので、俺は
「かかりって名前はいいけど、漢字が適当ずぎないか?」
正直に伝える事にした。するとどうだろう、飾は
「適当じゃあないっ!」
怒鳴られてしまった。めんどくせ。
飾の後ろを見ると、他四人がだるそうにこっちを見ている。こいつら途中で投げたな。
「あー、分かったよ。かかりでいいから」
てなわけで、女の時の名前は香架理になった。ぱちぱちぱちぱち…
「さあて、時間も遅いし、続きはまたにしますか」
その後、話し合いが雑談となり、しばらく経ってから修が切り上げた。
さて、少し前に書いたと思うが、清涼学園の寮は、一部屋に二人という決まりがある。もちろん俺にもルームメイトがいて、そして今の俺は女である。
まあ、そのルームメイトは紹介する必要ないんだけど、何故なら
「じゃあ……かかり?こっからどうする?」
俺のルームメイトは石岡優太だからである。
ようやく序盤から抜け出しそう。なんかやった!とテンションが上がった。
さて次回は、寮の生活をお送りしたいです。
お楽しみ[?]に~