つまり、大変な事に… 5ページ
十一月と言えどまだ秋。山は、葉をつけた木が並んでいる。だが、俺達が歩いて居るのは落ち葉の上で、どこを見ても赤、黄色の綺麗な景色が広がっていた。
「凄く綺麗だな」
「来て良かったって気になるね」
「……なんか落ち着くなぁ」
「あ、なんと無く分かります」
「疲れたなぁ」
「日頃動いてなさすぎなんだろ」
散歩コースを歩いている人は、俺達の他にも数人いたが、やはり平日だからか、そこまではいない。俺は整備されたコースの脇にある木々を眺めていた。
「あの…えっと…神鎌君」
ふいに話しかけられた。見ると、天冠さんが居る。
「ん?どうかしたの?」
俺は木の根っこを跳び越えて聞いた。
「その服、少し気になって」
「?」
「いや、なんか他の男子と服の感じが違うから」
「ああ、成る程」
俺の格好はジーンズ、長袖のシャツ、そして青い羽織もの。特徴が無いにも程があると言う様な格好だ。だが
「天冠さんも似た様な服装だよな」
そう言って天冠さんの方を見て、俺は固まった。この人、俺よりも身長高い………
「あの、大丈夫ですか?おーい」
放心状態になっている俺の肩を叩きながら、天冠さんが問いかける。
「…………大丈夫です」
「暗くなってますよ⁈」
俺はなんとか作り笑いをして、歩き出す。前のグループも、会話が弾んでいる様だ。
俺は、そのグループに近づいて、会話の中に入っていった。
散歩を終え、宿屋に戻った俺達は、部屋の中に戻ってすぐ、ゴロンと横になった。時計は五時をさしていて、もう外も薄暗くなっている。
「意外と疲れたなぁ」
優太が寝転びながら言った。その横で修がお茶をいれている。
「山道だからな」
俺は部屋の中央に置かれているテーブルに菓子を出しながら言った。菓子が拡がると、ゴロンとしていた奴らが起き上がって来た。
「こうやって男子校に居ながら女子と出かけられるってのは幸せだねぇ」
菓子を食べながら飾が言った。こぼすなよ。
「男子校どうのはともかく、大人数でこう言う所に来れるのは良いよな」
俺はお茶をすすりながら言った。
「夕飯前に風呂に行こうぜ」
ふと、和樹が言った。テーブルの上の菓子が無くなった頃だ。時計は五時半をさしていた。
「ん、風呂か。良いな。行こうか」
夕飯は七時だし、まだ余裕がある。俺達は、必要な物を持って宿屋の大浴場へ向かった。