つまり、大変なことに… 1ページ
ピリリリリリリリ。
ピリリリリリリリリリ。
他校交流会から数日が経ったある日、俺の携帯がけたたましくなり響いたのは、学校が受験準備とかで暫く暇になると分かり、喜んでいた時だった。
「猛。携帯鳴ってるぞ」
「分かってる」
携帯を取り出してディスプレイを見る。そこに映っていた文字は、『駒野 絢香』。俺は通話ボタンを押した。
「あっ、もしもし猛君?」
スピーカーから聞こえた声は、何処か安心した様だ。
「もしもし?どうした?」
俺は聞いた。向こうは、しばらく沈黙した後、
「にっ二時頃に保灯駅の前に来て。お願いね!」
ブツッ。
…………なんだ今の。俺は携帯の画面をしばらく見ていた。
「なんだって?」
修が聞いてくる。
「いや、駒野がさ、保灯駅に来いって……」
携帯をしまいながら俺は答える。なんか一方的だったな。俺が忙しいとか考えないのか?まぁ、暇だけど。
「で、どうするんだ?行くのか?」
「暇だからな。それよりも呼ばれた理由が気になるね」
「どうせ荷物持ちじゃねぇの?それともデートか?」
「そーゆーのって男子から誘うよね。普通。ただの用事ではなさそうだけど…」
「ともかく、二時に来いって言ってたからな」
俺は少し溜息をついた。
「早いね。まだ二時になって無いよ?」
駅に三十分前に行くと、駒野がすでに居た。聞くと、電話した時にはもう着いて居たそうだ。だが俺が電話を受けた時間は十二時。一時間は待って居たことになる。
「よくもまぁ女子一人で一時間も駅前にいれたなぁ」
そう言うと駒野はピシッと音を立てそうな感じに固まった。俺は呆れた。何してるんだこいつ。
「で、今日俺を呼んだ理由はなんだ?」
俺は固まっている駒野に聞いた。しかし返事が無い。
「おーい」
頬を軽く叩くと、駒野ははっとしてこちらを見る。
「で、俺を呼んだ理由は?」
俺が改めて聞きなおすと、駒野はフフフと微笑んで、
「ちょっと買い物に付き合って」
と言った。
「買い物?」
なんか凄い事を言いそうだったから、俺はその答えに拍子抜けしてしまった。
「そう。買い物。分かったらさっさと行くよ」
そう言って駒野は俺の腕を引っ張り出した。
俺は引っ張られながらどうして俺を呼んだとか聞こうとした。
「歩きながら話すわ」
駒野は引っ張りながら答えた。