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つまり  作者: 石本公也
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つまり、他校交流会? 5ページ

「ぶふぅ~。たっだいまぁー」

バスに揺られて学園の寮に帰って来た俺は、疲れた様にドアを開けた。

「疲れた様に見えたのは声だけかい」

元気(げんき)良くリビングに入ると、燕が呆れた声で言った。俺はその言葉を流して風呂の方へ向かう。

「パーティーはどうだった?」

服を用意していると、燕が話しかけてきた。

「やっぱりパーティーは凄いな。ご馳走の量が半端(はんぱ)ない」

「そうじゃ無くて、温華の子達とはどうだったって事」

「あぁ、なんだかギクシャクしてて交流できて無かったな。クラスの意気込(いきご)んでた奴も、空回りしてるみたいだったし」

「ところで猛。なんで女物の服用意してんの?」

「交流会は七時まであるからな。気を抜くと時間的に強制的に女になる」

そう言って俺は風呂にはいった。






交流会会場は、今度(こんど)も大きな所で、またしても豪華な料理が並んでいる。俺ら五人は、会場をまわっていた。和樹達もついているのは、初日に温華の生徒と話したのが俺と飾だけだったかららしい。下心は凄いな。

「神鎌くん?今日は大人数でまわってるんですか?」

四人の後ろについていると、秋永さんが話しかけてきた。振り返る四人。

「ああ。秋永さんは一人?」

「いえ、皆の飲み物を」

「そっか」

俺は(かかと)で後ろにいる奴らの足を踏んづけながら言った。

「せっかくの交流会なんですし、一緒に行きましょう」

「「「はい!」」」

俺の代わりに元気良く返事をしたのは、後ろにいるやつらだった。





秋永さん達のグループと話しているとき、ふと周りを()てみると、俺達の様に温華の生徒と話している男子がいた。流石に二日目という事もあってか、話せないでいる奴は少ない様だ。

「へー、じゃあその文化祭は、劇をやった四組が大賞をとったんだ」

秋永さんといた草野さんが関心(かんしん)した様に言った。

「おい!俺の事話したのか?」

俺は小声で修に聞いた。

「いや、お前と燕の事を隠しながら文化祭の事を伝えたんだ」

修も小声で返して来た。その答えを聞いて俺はほっと安心(あんしん)した。俺の事を正直に伝えても、信じる人はいないだろう。下手すると、変な誤解を持たれてしまう。クラスの奴らが簡単に信じたのは、俺が実際に女になったり男になったりしていたからだ。

「その劇見たかったですね」

秋永さんが本当に残念(ざんねん)そうに言った。他の女子も頷いている。俺は相槌(あいづち)をうちながら聞いていた。

その時、不意にウェイトレスさんに声を掛けられた。

「ビンゴカードはお持ちですか?」

「ビンゴ?」

思わず俺は、ウェイトレスさんに聞き返してしまった。しかも、驚いて上擦ってしまった声で……。

しかし、ウェイトレスさんは表情を全く(くず)さず、俺達にカードを配る。

「はい。この後、ビンゴ大会が開かれる様です。聞いた所によりますと、豪華な賞品(しょうひん)が出るそうです」

全員にカードを配り終えたウェイトレスさんは、(うやうや)しく一礼をし、俺達から離れて行った。

「プロって感じがするなぁ。雰囲気とか、佇まいが」

駒野さんが、ウェイトレスさんの背中を眺めて呟いた。

「確かに、猛が変な声で返事をしたのに、(まゆ)一つ動かさなかったからな」

おい和樹、掘り返すなそこ。



「ではこれで、本日の交流会を終了します」

気が付けばもう時間で、会場内にアナウンスが流れる。俺達はまた明日と秋永さん達と別れた。

結局(けっきょく)、ビンゴ大会で商品をゲットで来たのは、彩森さんだけだった。しかも、手袋。もっと豪華な、例えばハロゲンヒーターだの、高級羽根布団(はねぶとん)だのあったんだけど、早い者勝ちでそう言う豪華賞品は次々と消えてった。で、残ったのが手袋。残念賞では無いが、期待ハズレと言うか……。

その帰りのバスの中で、隣の奴が賞品はゲットできなかったがメアドをゲットしたと無駄に自慢してきて、非常に鬱陶(うっとう)しかったのは余談である。

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