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つまり  作者: 石本公也
35/126

つまりは文化祭! 5ページ

どんな劇だろうと主役を貰うと、セリフを覚える量が多い。主役であまり喋らないのは、ゲームの主人公位だろう。つまるところ、この前置きの意味はーーーー






「疲れた!」

その声とともに中を舞う台本。俺はソファにもたれ、天井を見つめた。別に天井を見つめて何があると言う訳じゃないが、とにかく台本から目を逸らしたかった。

「私の歌で世界が救えるの?」

キッチンから声が聞こえる。燕が多分、料理しながら台本を読んで練習しているのだろう。俺は燕の声を聞きながら、ソファの上で横になる

ほんの数日前に美術部に駆り出され、普段の授業と文化祭とで疲れた俺の頭では、寮に戻ってまで台本を読む気になれなかった。今俺の頭は、糖分を求めてる。

「確かに私はこの世界になんの思い入れもないけれど、こんなにも荒れた景色を見たら、何もしないでかえれ・・・ってあぁっ!」

キッチンからあわただしい音がする。

「どうした燕?」

俺はソファに寝転がったまま聞いた。

「・・・・・・・・焦がしちゃった・・・」

申し訳なさそうな声が返ってくる。俺は寝返りを打って

「いいよー別に。それよりメニューなぁに?」

と言った。別にメニューなんてどうでもよかったが、何か話さないと燕が謝ってきそうだったのだ。

「メニュー?ただのフライだけど・・・」

「ふぅん」

生返事を返しながら俺は、なんのフライが焦げてしまったのか気になった。








「授業がようやく終わったか」

俺がため息をついたのは、帰りのホームルームが終えた時だ。この後にある文化祭練習の為に、俺は女子制服の入った袋を持ち上げた。さすがに男のまま女口調でしゃべる気は無い。

「猛。お前劇の練習で必ず女になるんだから、最初から女でいればいいじゃねぇか」

席を立とうとすると、飾にそう言われた。俺はそのまま立ち上がって言った。

「飾。女でいたら体育参加出来ねぇじゃんか。」

 今日の練習は外でやるらしい。なぜかというと、背景に使う絵を描くために、人が大勢いると邪魔なんだそうだ。しかし、いくら六月の終わり七月の初めといえど、もう夏であり日差しが強い。そこについ昨日まで降っていた雨の湿気が追い打ちをかけるように俺たちのやる気を奪っていった。

その環境に全員耐えられず、木陰で休んでいると、背景を書いているはずの生徒が何かを持って走ってきた。

「えーっとかかりと燕。お前らが歌う歌ができたから、教室に来い」

 歌とは、多分台本に書いてあった命の歌とかいうやつだろう。・・・・・・しかし歌が出来たか。どこかから引用すればいいのに、このクラスは自分たちで作っちまったか。

とりあえず、俺は立ち上がり、燕と一緒に教室に向かった。

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