つまりは文化祭! 1ページ
夏休みが明け、ガヤガヤと騒がしい清涼学園。なんせ二学期最初のイベント。文化祭が近づいているからである。生徒一丸となって取り組むこのイベントは、どこの高校でも盛り上がっているのだろう。
ーーーさて、少しばかり、回想に入るとしよう。なぁに、ほんの三ヶ月程前にーーーー
文化祭が行われるのが、二学期始まってすぐだと、一学期、六月頃からどの出し物をやるとか、そんな事を決め始める。
「はい。それでは文化祭の出し物について、何か意見あるか?」
文化祭実行委員に、ついさっき決められた加藤誠吾は、クラスメイトに向かって言った。俺は珍しく起きている。
「はい」
後ろの方の席から声が上がった。真面目な意見を言う奴じゃない様だが、
「高田か。何したいんだ?」
クラスのお調子者だから多分却下されるだろうな。そんな事を考えながら高田の言う事も上の空で聞いていた。
「やっぱりメイド喫茶がいいです」
….……………やっぱりな。
「俺も賛成します!」
和樹、賛成するな。だが、俺は甘かった様だ。ここは男子校であり、クラスには普通男子しかいないはずなのだ。
「「「俺も賛成します!」」」
和樹が最初に便乗して、じゃあ自分もと言う奴が出て来た。
「ちょっとまった!なんでメイド⁈」
燕が慌てて立ち上がり、否定するが、
「クラスに女子がいるんだぞ!」
と、クラスメイトの反発にあって黙ってしまった。かと言って俺も黙っていたら、あんなフリフリした物を着なきゃいけなくなる。俺は立ち上がって、教室の前に行った。加藤に教卓の前を開けてもらい、俺は言った。
「クラスに女子が二人しかいないのに、どうやって成り立たせるんだよ」
教室中の目線が俺に集まった。
「たった二人で喫茶店やるのは無理がある。そんな事をすれば、当日俺と燕は回れないだろ?」
とにかく理由を確立させる。で、確かにと頷かせる。こうすれば納得してくれるからな。
「確かに、二人に二日間働かせる訳にはいかないし…」
ふぅ……これで落ち着いたな。しかし、一度燃え上がった男子は、結構しぶとかった。
「じゃあ劇だ!劇をやろう。これなら二人でもできるだろうし、最悪三人にして一人ギャグでやれば問題無いはずだ」
納得出来る意見を飛ばして来た。糞、こいつ等どうしても[女子がいる事]と言う事を使いたいらしい。
劇と言うのは普通面倒がる物だが、俺が反論出来ないでいると、ここぞとばかりに押して来た。
「劇なら良いだろ!」
「そうだ。これで当日も回れるじゃねぇか」
迫って来る男子たちに、俺は頷いていた。