つまり、落ち着きました。 5ページ
引きずられる様にして、俺らは、美術部部室の前にきた。
「ちょっと待ってておくれよ」
佐久間少年がそう言って部屋の中に入って行った。
しばらくして、佐久間少年が部屋から出てきた。
「入ってくれ」
力が抜けた様な声で言った。中で一体何があったのだろうか。
俺らが中に入った。中は結構明るくて、清潔感があって、それでいて何か落ち着くものがあった。
そしてその中に、優しそうな顔をした人がいた。男の人なんだが、まとってる雰囲気は母性的な物がある。ネクタイの色を見る限り、二年生だろうか?
「君たちが最近噂の女の子たちかい?」
優しい顔から発せられた声は、とても優しいものだった。これだけで、たいていの人なら心を許してしまいそうだ。
「しかしよく来てくれたね。佐久間君、すこしおかしなところがあるから」
少しをすっごくに頭の中で変換して、俺はうなずいた。俺らの後ろで「芸術家は少しおかしいくらいがいいんだ」とか聞こえてるが、無視。
「僕は森山大地。この美術部の部長だ」
森山さんが言った。この人が部長なら、美術部員は幸せだろう。
「部長さんなんですか?!」
燕が驚いて聞いた。今日コイツ驚いてばっかな気がする。
「ああ、こんな僕だが、部長をさせてもらっている。ところで、お願いの中身は知っているのか?」
「あっ、はい。確か絵のモデルって……」
「そうか、知っているなら話は早いね。放課後、美術室に来てくれるかい?」
森山さんがそう言ったのを聞いて、俺は朝のホームルームが始まる前だった事を思い出した。
放課後、俺らは、言われたとうりに美術室に来ていた。俺と燕はモデルをするため、他の四人は冷やかしの為にいる。
朝と違って、部室には結構な人がいて、俺らの方を見てヒソヒソ言い合ったりしている。
「や、遅くなった。悪いね」
ふと後ろから優しい声がしたと思ったら、森山さんがいた。
「森山部長。こんにちは」
あちこちから声が聞こえて、この人はやっぱ人望があるなと思った。
「それじゃ、え~っと…」
「あっ、神鎌 たけ…かかりです」
「神鎌さん。あと…」
「山瀬 燕です」
「山瀬さん。傘を持って、庭園のとこにいてくれるかい?ああ佐久間君。雨降ってるから道具を、後、篠田も、準備を手伝ってくれ」
テキパキ指示を出す森山さん。佐久間少年と篠田とよばれた人が、立ち上がって何やら大きなセットを持ち出す。
「手伝います」
冷やかしの連中も手伝いに行った。
「俺らも庭園に行こう」
俺がそう言うと、燕は頷いた。
猛達以外のキャラ(先生達を除いて)実は作中で十一月頃にやっと登場する予定でした。
でも彼らだけでは、つまらなくなってそうです。
次回。筆を取って
お楽しみにー