つまり、落ち着きました。 2ページ
外は、雨が降っている。
昨日あんなに晴れていたのに、外は雨だ。
嬉しいのは、傘もさせない土砂降りでなく、傘をさそうかどうしようか迷う霧雨でも無い、雨らしい、静かな雨であることだ。
俺は大きく息を吸って目を閉じる。しばらくすると、ほんの一瞬、体の感覚が消える。そして目を開ければ鏡の中に、男の俺がいる。
自分の意思で変わるときは、落ち着いた状態出ないといけない。だからだろうか、最近、何事も動じなくなった。
「いや、元々だと思うよ」
いつの間にか燕が後ろに居た。湿気を散々吸ったようで、髪が所々跳ねている。
「雨なんか嫌いだ~」
寝癖を直しながら燕がぶーたれる。
「知らないな、俺は。」
「お前も寝癖直しの大変さを知っておけよ」
「女の時は髪質が凄いから、寝癖が出来ない」
「ずるくないその髪?」
「雨は別にいいんだけど、ズボンの下が濡れるんだよな」
今度は和樹がぶーたれている。
傘をさしての登校。あじさいではないが、道の横にある草木が綺麗に見える。
女の時にこの状態で傘なんか回したら、結構絵になるんじゃないかな。自惚れか。
「暑いのがこの後来るんだもんな。涼しいって気分、今のうちに味わっとかないと」
飾はそう言って傘を思いっきり回した。
「なっ、 いきなり回すな!水がかかっちまったじゃねぇか!」
飾の横に居た修が飾を睨む。二人のさしている紺と茶の傘が、俺の前で閉じたり開いたり回ったり、どうやら水のかけあいをしている様だが、お前らいくつだよ。
そうしてるうちに、学校についた。
「ここに来る度に思う。なんで俺だけ取りにくい場所なんだろうな」
下駄箱を俺は恨めしく眺めた。
「普通は最上段でも取れるぞ、お前の背が低いだけだ」
優太にそう言われたが、必死に上履きを取っている俺には聞こえない。
教室。学校と言うのは案外暇でホームルームが始まる前ぐらいしか面白い事がない。
そのホームルームが始まる前、俺は携帯を見ていた。
「ん。今日の占いか…」
検索エンジンのサイトの、エンターテイメントコーナーの、占いと言う文字が目に付いた。
「占い?面白そうだな。ちょっと見てみようぜ」
飾が後ろから言って来た。人の携帯を後ろで覗き見るのはマナー違反だろう。
「おい早く開けよ」
飾にせかされて俺は占いページを開く。えーっと、射手座は……
「五位か」
半分より上だが、微妙な順位だな。
「占い?どれ……うっ十位」
燕が後ろから言って来た。こいつらマナーがほんとになってないな。
「飾、牡羊座最下位だぞ。」
「…………知ってるよ」
割とこういうのは気にする方なのか?
飾はおいて置いて、俺は射手座の詳しい結果をみた。そこには、思っても見ない事が起こるよ、と書かれていた。
思っても見ない事は、二ヶ月前に起こったよ。
何故か第七話がこの話で人気です。
どうしてか解りません。