つまり、ごーるでんうぃーく‼ 2ページ
小説執筆場所は主に布団の上です。ふっかふかでないのが残念です
目が覚めた。
俺は思いっきり伸びをし、手櫛で髪を撫でる。それから俺は階段を降りた。そして、
「うわっ!」
驚いた。なんてったって家族揃ってソファーに座り、皆一様にこちらを見ていたからである。
「何してんの?」
たまらず俺は聞いた。だって不思議なんだもん。
「ふむ、これが女の子になった猛か」
父さんが顎に手を当てて言う。しかしその姿は、全く渋く無く、ただの太り気味のおっさんだ。
「これが兄ちゃん?すっごく可愛い顔してるよ」
おい翔、俺は性格もいいだろうが。
「本当に……本当なのね」
母さんだけがまともなのか、未だに信じられないのだろう。
ところがすぐに、
「でも、なんで服は変わらないの?やっぱり戦隊物とかの変身とは違うのかしら」
目で見た物は全て信じ、ヒーロー物のドラマを見ている母親に戻った。ホント色々変わらないな。
「猛。もしかしてあんた、学校でも男物着てるんじゃないでしょうね」
そんな質問朝からするのか。
「まあ、制服以外はそうだな」
俺がそう答えた瞬間、うちの母親は顔を輝かし、ソファーに座っている面子に命令する。
「お父さん車だして、こうゆーのはさっさとやった方がいいわ、猛はさっさと朝ご飯食べて、久しぶりの家だからって、昼まで寝てないで頂戴。翔。ついでにあんたの服も見に行きましょ、みんな早く準備して!………さてと、ポイントカードどこやったかしら」
ともまあ、急に慌ただしく家族が動いた。
「ところで、母さん。車を出すって何処に行くんだ?」
父さんが聞くと、
「この娘の服を見に行くの!」
母さんは俺を指差して言った。
やや大きめのショッピングモールで、神鎌家の母親はウキウキしながら服を選んでいる。
今まで家に女の子がいなかったから嬉しいのだろうが、歳考えろ四十後半。
「今日お母ちゃんどうしたの?」
翔が聞いて来る。俺は
「暴走してんだよ。」
と言っておいた。すると母さんがこっちに手を振っている。俺を呼んでるらしい。
俺が近づくと
「とりあえず、これとコレと此れとこれとコレを試着室で着て」
と、かなりの量の服を渡されて試着室に押し込まれた。普段ならあり得ない早業に、俺は呆気に取られた。
「ほら、早くして」
急かすのが早い!
じゃなくて、この服はどうやって着るんだ⁈俺は色々迷った末、なる様になれと適当に着た。その後母さんに怒られて、服を変える度に注意され、着方を直し、また新しい服を渡されてと言う行動が、ずっと続いた。
「はぁ……」
ベンチに座り、俺は溜息をついた。
足下には、色んな服が入ってる紙袋がある。
女になるのは一日起きなので、そんな量はいらないと思ったので、服を色々削ったが、
紙袋はとても重たい。
母さんは、いま翔の服を見ている。翔はまた服が小さくなったらしい。俺はここ数年、服がきつくなったと感じただろうか?
「猛、お前やっぱり、明日学校に戻るのか?」
不意に父さんが聞いて来た。
俺はあぁ、と答えた。
ほんの少し、父子で話した。懐かしい話だ。
「後、時間的に門限間に合いそうにないんだよね」
柱時計を見ながら俺はつぶやいた。母さんはまだ翔の服を見てる、
「母さんには、俺から後で言っておくよ。まだ間に合うんだろ?」
父さんが言った。
俺は立ち上がって
「正月…最低でも正月には、帰れるから」
そう言って、紙袋を持って学校に帰った。
ショッピングモールで、しかも父さんにしかきちんと別れを言えなかったが、また集まれるから、気にしなかった。
二度寝の心地良さはやっぱり半端無いですね
さて、次回は、たしなみでしょうが
お楽しみ、に。