つまり、五月の修学旅行!
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毎日増えていくpvとユニークに、思わず笑顔になります。
さて、前回の後書きで『つまり、そいつは転校生』の話数が多かった! なんて言っていましたが、もしかすると今回の話も長くなりそうです。
長いからって山がある訳ではありません。オチがある訳ではありません。ただグダグダとしていくだけです。
では、楽しんで書かせていただきます。ノリだけで書かせていただきます。
『つまり、五月の修学旅行!』
女にも、男にもなる体質となってから、一年と数日が過ぎた。こう考えると、だいぶ時が経ったように思う。けれど、こんな体質になってから約三百八十日が過ぎたと考えると、去年、下駄箱で倒れたあの日が最近の事に思える。
不思議だ。
自分の顔がプリントされたカードを場に出しながら、あくびを一つ、そんな事を考えた。
最近は気温も上がって来て、冬服では若干暑い。
「もうこの時期から衣替えが始まってもいいと思うんだよなぁ俺は」
俺の目の前で、俺と同じ様にカードを手に持って、場を見ている菊池に同意を求める様に、俺は言った。
「そうだな。ブレザーってけっこう暑いんだよな。六月から衣替えじゃぁ、おせぇよな」
菊池は場にイベントカードを出しながら答える。くそっ、場に出てる生徒カードが馬鹿ばっかだから、『テスト範囲追加』のイベントはやばい!
「でもさ、六月まで後二週間ぐらいあるんだよね。それなのに今日の朝やってた天気予報だと、今週末は三十度くらいまで上がるみたいよ?気温」
俺達の隣で、観戦していた燕も、もう夏服でもいいよね。と愚痴っている。
おれは対抗策として、場に『良く当たるコロコロ鉛筆』を出した。これで何とか持ち直せるだろう。
「そーいや、まだ梅雨入りもしてねぇンだよな。そう考えると、夏服はまだ早いのか」
そう言いながら、場に『数学の問題』と『大場先生』を出し、俺に止めを刺した菊池は、フーっと息をはいて椅子にもたれた。
今は、朝のホームルームも始まっていない時間、教室にいる生徒もまばらな時間。俺と菊池は、暇潰しとして、林の自作カードゲームを借りて遊んでいた。
「しっかしヒマだな。まだ時間あるし……行事とかなんか無かったっけ?」
カードを片付けつつ、俺は二人に問い掛けた。文化祭は二学期だし、体育祭は清涼学園はやらないし、一学期って暇になるんだよな。
「猛。あと少しで修学旅行があるじゃん」
「修学旅行?」
そんなものがあったのか。先生達何も言わないからすっかり忘れていた。
「そうだよそうだよ。二泊三日の修学旅行。中等部一年以来だっけ?なっつかしいなぁ」
「行く前は野郎ばっかで楽しめるのかと思ってたけど、はしゃいでたもんな」
「花が無い~って、みんな愚痴ってたよね」
「今はお前らがその花だろうに……まぁいい。それより、場所はどこだ?」
「あと修学旅行って言ったらバスだよな。菊地の所にはいなかったか?窓際じゃないとダメだって言ってた人」
「ああ、確かに居たな。神鎌。それより山瀬、修学旅行はどこに行くんだ?」
「中等部の時は何でか青森だったからな~。いやぁとっても寒かった」
「えっと、今年の行き先は?」
「えっ?」
「ええっ?」
なんかよく分からんが、燕と菊地がお互い驚いて固まった。今の会話のどこに驚くポイントがあったのだろうか。
それにしても、今年の修学旅行はどこにいくのかな?気になって来た。
「いやだから、今年の修学旅行の行き先はどこか知ってるか?」
そんな事を考えていたら、菊地が燕に質問してくれていた。丁度良いタイミングだ。
「私は知らないよ?でも……先生とよく話していたり、噂話を聞き逃さなかったり、情報通って言われたりしてる人なら……」
情報通、ねぇ。持ってる情報は誰にも売らないが、大量のデータを持っている奴なら居たな。さっきまで、そいつが作ったオリジナルカードで遊んでいたし。
俺と燕と菊地は、ゆっくりと、その情報通がいる席に目を向ける。
彼は、飾と自作カードゲームで遊んでいた。
「林ぃ!」
椅子に座ったまま、情報通、林を呼ぶ。
彼はカードを弄っていた手を止めて、俺達の方を見る。飾達も、こちらに視線を向けている。
「今年の修学旅行の行き先って知ってる?」
そう聞くと林は、飾と行っていたカードゲームを中断して、ニヤリと笑った。
お、こいつ知ってそうだな。
「そうだなぁ。毎年清涼学園の修学旅行は、先生達が直前になって行き先を発表するからな。気になるだろう」
何もったいぶってんだよ。溜める必要なんかないぞ?
いつの間にか、教室に居る生徒の数が増えてきている。そしてそのほとんどが、林の言葉に耳を傾けている。やっぱりみんな気になっているのだろう。修学旅行は大きなイベントだ。
さて、そんな形でクラスメイトから注目を浴びている林は、「修学旅行の行き先はな……」と更にためてから、ーーーーどこで仕入れたのかわからないがーーーー行き先を述べた。
「行き先は、京都であるっ!」
その瞬間、クラスのあちこちからため息が漏れた。