弓道との出会い!!
よろしくお願いします
「あなたのハートを射抜かせてください!!」
深呼吸をして、視線を真っすぐ視線を向ける
手を前に差し出し、頭を少し下げた。
「???あなた誰ですか?」
彼女は眉がひそめ、唇をかすかに噛む
「俺は渡辺悠生!高校一年生!」
彼女の目が大きく見開かれ、瞬きすら忘れている。
「わ、私は矢澤由美で、す?」
唇を押し噛むたびに小さなため息が漏れ、言葉はますます途切れ途切れだ。
「え、しょ、初対面だよね………………あっもしかして!?」
その声が途切れた瞬間、彼女の手がすっと伸びて、俺の手を掴んだ。
こ、これはOKってことか〜!?
心臓が胸を突き破りそうなほど早く鼓動する
手が震え、膝がガクガクと揺れる。呼吸は浅く、まともに息ができずに俺は気絶した
「もしかして弓道部に入部希望ですか!!!」
(射抜きたいって言ってたし)
「………あれっ?」
意識を失った僕の前で、彼女は小さく手を振った。
「おーい………起きてる?」
声はかすかに震え、眉が下がる。目には不安が浮かんでいる。
「……まぁ、いいか」
彼女は小さく息をつくと、俺の腕をそっと掴んだ。
「部室まで連れて行ってあげるね!!」
そうして彼女は廊下や階段、体育館、グラウンド、道場に続いていく道を引きずって行った
目を覚ますと、見なれない天井が目に入った。
「……どこだここ?」
床の木の匂いとひんやりした空気に、まだ頭がぼんやりしている。
遠くから「パシッ」「トンッ」「ピシッ」と、何かが弾けるような音が連続して聞こえる。
音の方へ顔を向けた、その瞬間。
「おう、起きたか」
すぐ近くから声が落ちてきた。
反射的にそちらを見る。
もしかして、由美さん!?
「えっ、」
けれど、視界に入ってきたのは。
見上げるほどの体格の、知らない男。
低く太い声と、圧のある立ち姿。
おまけに怖くて威圧的な顔
それを見た瞬間、体が勝手に動いた。
「うわぁぁぁ!!!ばけもの!!!!!」
叫びながらバランスを崩し、頭が柱にドンッ!
「いっ……!」思わずうずくまる。
痛みと恥ずかしさで、顔は真っ赤になった。
「人を化け物呼ばわりとは何事だー!!」
ゴンッ!!
俺の頭にゲンコツが炸裂した
視界が一瞬ぐらりと揺れ、涙がにじむ。
「いっってぇ…!」
思わず頭を押さえてうずくまる。
見上げると、男はまったく効いた様子もなく、額に青筋を浮かべていた。
「わかってるさ!俺の顔が高校生に見えないことなんてな…」
彼は遠くを見つめ怒りと悲しみが混ざった複雑な表情をしていた
そして振り返り、少し離れたところにいる少女――矢澤を睨みつける。
「おい矢澤!なんでこんなやつ連れてきたんだ!」
怒鳴り声が空間に響く。
名指しされた矢澤は、一瞬きょとんとしたあと、少し困ったように目をそらした。
「……だって、倒れてたし」
ぼそっとした言い訳。
「だからってなぁ!」
男は大きくため息をつき、もう一度こちらを見下ろす。
頭の痛みと状況の混乱で、思考が全く追いつかない。
「……なんなんだよ、ここ……」
そこは異様に静かだった
弓を構える音が「ピンッ」と高く弦を弾き、矢が放たれるたび「パンッ!」と的に当たる乾いた衝撃音が空間に響く。
その音の余韻が体にまで伝わり、自然と背筋が伸びる。
誰も声を出さず、ただ弓を構え、矢を放つ動作を繰り返す。
そのたびに「ピシッ」「パンッ」と音が重なり、場をリズムのように満たしていく。
胸の奥にじんわりと緊張が染み込み、呼吸が自然と整えられる。
混乱していた頭の中も、弓と矢の音に支配されるように、少しずつ沈黙の空気に引き込まれていった。
主人公は思わず息を呑む。
「……す、すげぇ……」
自然と漏れる声も、弓道場の静けさの中で小さく震えた。
「ふふッ……」
矢澤が笑った
その笑い声に、少し戸惑いながら顔を上げる主人公。
矢澤はにやりと微笑み、軽い調子で続ける。
「渡辺くん弓道部に入部したいんだって!よかったじゃん!」
部長が突然、眉を吊り上げて主人公を睨みつける。
言葉の重さに、胸の奥がギュッと縮む。
「誰がこんな無礼者の世話をするんだぁ!」
え……あ、あれ?俺、入部するって言ってないんですど……?
俺は思わず戸惑う
でも視線が部長の鋭さに絡め取られ、自然と体が前に出る。
「俺は帰るぜ、歓迎されてねぇみたいだしな」
そう言いながら、思い切り変顔を作る。
目を見開き、舌を少し出して口角を歪める。
部長の目が一瞬ハッと大きくなる。
その隙をついて、主人公は大きく足を踏み出し、部室の扉へ向かう。
ドアの前まで足を踏み出した瞬間、視界に矢澤の姿が入った。
矢澤が静かに立ち塞がる。
主人公は少し眉をひそめながらも、声を荒げる。
「たとえ矢澤さんに止められても!俺はいきますよ!あのばけも、、奴がいる部活なんて嫌ですからね!」
「……ちょっとだけでも、いいからさ、見ていかないかなぁ?だめぇ?」
矢澤は少し首を傾げ、ふっと上目遣いで主人公を見上げた。
「見ていきます!!!!!!!!!!」
矢澤がにこっと笑い、手で少しだけ合図する。
その笑顔に押されるように、主人公は部室の中へと足を踏み入れた。
「……まぁまぁ、本当に!ちょっとだけですからねぇ…えへへ」
道場に足を踏み入れると、主人公は床にあぐらを組んで座った。
「おい、道場では正座だ」
部長の低い声が、静かな空気をピリッと震わせた。
俺はあぐらのまま、顔をしかめる。
「……やだね」
ぽつりと吐き捨てる。
部長の眉がピクリと動いた。
「なんだと?」
「なんかさぁ、正座って怒られてるみたいで嫌なんだよ」
肩をすくめながら、視線をそらす。
「別に怒ってるつもりはない」
「いや、怒ってるでしょ今」
一瞬、間が空く。
「……いいから座れ」
低く、抑えた声。
でも俺は動かない。
「えー、じゃあさ」
ちらっと部長を見る。
「怒ってない顔してくれたら正座する」
場の空気が凍る。
矢澤の肩がびくっと震える。
部長はしばらく無言で俺を見下ろしていた。
やがて――
ぐっと口角を引き上げる。
引きつった、ぎこちない笑顔。
「……これでいいか」
「こっっわ」
反射的に出た。
「誰がやらせたんだ今の!!」
怒号が飛ぶ。
「ほらやっぱ怒ってるじゃん!」
俺はすかさず突っ込む。
矢澤がついに吹き出した。
「ふふっ……!」
道場の静けさの中で、その笑いだけが軽く弾ける。
部長は大きくため息をついた。
「……はぁ。いいからさっさと座れ」
今度は少しだけ力の抜けた声。
俺は少しだけ考えるふりをしてから、
「……まぁ、しかたないなぁ」
しぶしぶと足を崩し、正座の形を作った。
床の冷たさがじわっと膝に伝わる。
「……これ、慣れんのかよ」
小さくぼやく。
部長は呆れたように鼻を鳴らした。
「慣れるまでやるんだよ」
その言葉に、ほんの少しだけ――
道場の空気が柔らいだ気がした。
「道場は礼儀を大切にする場所なの、だから正座するんだよ」
由美さんが優しく説明してくれる
「わっかりました!!正座最高です!」
部長は呆れた顔をしていた
「……なんでこんなやつ引き留めたんだ」
部長が矢澤の顔を見る
その視線に矢澤は少し押されつつも、にこりと笑って答えた。
「だって、三年生がいなくなったから……神崎くんを入れても、3人しかいないんだよ」
部長の眉がぐっと下がる。
「……はあ、なるほどな」
道場には一瞬静寂が流れる。
「……落ち着け俺、あいつはただのバカだ」
部長は深いため息をつき、少し頭を抱えるように腕を組んだ。
部長が静かに立ち上がり、弓を手に取った。
「一回だけだぞ」
その声には威圧感があり、場の空気が一気に引き締まる。
主人公は思わず背筋を伸ばし、矢澤も息をひそめて見守る。
部長の手が弓を構え、矢を置く。
腕の角度、指の力、呼吸のリズム――すべてが完璧に揃っている。
「……ピンッ」
弦が弾ける音が高く響く。
矢は一直線に飛び、遠くの的に「パンッ!」と突き刺さった。
「お、俺もあのぐらいすぐできるようになりますよぉ〜」
矢澤が一瞬戸惑った顔を見せたがすぐにくしゃっと笑った
「そうだといいなぁ〜部長、県内で2位なんだよ〜」
「なにっ、そんなにすごいのかあいつ……」
矢澤は大きく息をつき、肩で笑いを押さえながら小さく笑った。
「ふぅ……、弓道してる人ってほんとにかっこいいよね」
その言葉に、主人公の胸がぐっと熱くなる。
真剣な空気と、部長の圧倒的な凄さを目の当たりにした直後だからこそ、その言葉が心に刺さった。
「……あ、俺も!」
思わず声が弾む。
矢澤の目をまっすぐ見て、自然と拳を軽く握る。
「俺も入部します!弓道部に!」
矢澤はにこりと微笑み、手で軽く合図する。
「ほんとっ!ありがとう渡辺くん!」
矢澤は迷いなく、そっと僕の手を握った。
矢澤の手の温もりを感じて、顔は赤く染まり、心臓はドクドクと脈打つ
「男!!渡辺悠生!弓道やるぞぉぉ!!」
読んでいただき、ありがとうございました!
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