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「邪魔をしないで頂きたい」と伯父が一言。
わー伯父様!相手は王太子様達だよ?
「前侯爵、邪魔をするつもりはないんだ。ただ、カテリーナ様には王命で知らされていなかったが、王妃の死因は産褥死だったという事は、我々王族には知らされていた。産まれた子は生後数ヶ月で行方不明になったが、出産に立ち合った産婆と乳母からは産まれた赤ん坊は、金の髪にエメラルドグリーンの瞳をしていたとの証言が残っている。我々は真相を知りたい。聞く権利はあるはずだ。そうだろう?」
王太子まともな事言えるんだ!ちょっとビックリだぞ。
伯父が「リリベルいいか?」って聞いてくれる。
そんなの全然ダメじゃない。だって彼らもカテリーナ様のお母上は先祖だ。リリベルは頷く。
伯父が殿下達に「墓参りの後で良いか?」と言うと、彼らも一緒にカテリーナ様の冥福を祈りたいのだと言ってきた。
リリベルは「いいよ」という気持ちを込めて伯父を見るが、神官様はどうだろう?
伯父は神官様にも許可を取る。
いつも伯父が呼ぶ神官様は陛下の婚約者候補だった、かつての公爵令嬢だ。彼女もカテリーナ様に救われた一人だが、自分が神殿に入った為に妹が父親の手で側妃にされてしまったと胸を痛めた女性でもある。
もしかしたら彼女は殿下達にも何か思うところがあるかもしれない。しかし、彼女も黙って頷いた。
そして意外なことに神官様も「カテリーナ様もきっと喜んでくれるでしょう」と仰った。
ライオット兄が墓所の扉を開けてくれて、皆で墓所に入る。
伯父がランプの一つに灯りを灯すと、次々とランプに灯りが点くように火魔法がかかっている。
中は歴代の王族の墓標が並んでいる。伯父は迷いなく、たくさんの墓標の中を進みカテリーナ様の墓標の前で足を止める。
そこで神官様の祈りの言葉に皆で黙とうする。
カテリーナ様に祈りを捧げた後、伯父は近くの王妃様の墓標に水色の宝石を捧げる。宝石は指輪に加工されていた。
「その指輪は?」と王太子殿下が仰る。
伯父は「ただの献上品です」と言って出口に向かった。
王太子殿下は何か言いたげではあったが、この場では黙っておられた。
リリベルも伯父について出口に向かう。
王妃様って爺様のお母様だから、実はリリベルのひいお祖母様なんだよなって思った。
後でルト兄にも教えてあげなきゃ。それとも兄もこの後の話を一緒に聞くだろうか?
墓所から出るとザック殿下の侍従のフィリップ様がお待ちだった。
フィリップ様は我々の中の神官様の姿に目を停められ「叔母上!」と仰った。そうか神官様はフィリップ様のお母様の2番目の妹さんだったわ。
それに驚いたのは王太子殿下側だった。
まさか神官様が、陛下の元婚約者候補の方だとは思わなかったのだろう。
王太子殿下は直ぐに申し訳なさそうな顔を神官様に向けるが、神官様は「今、いらっしゃる、どなたにも罪の無いことですから。それに王族の権限を奪った人にも関わらず、こうやってカテリーナ様の事を偲んで下さるなんて、今の王族はカテリーナ様の意思をちゃんと汲んで下さっているのでしょう。有難いことです」と仰った。
「では私はこれで。フィリップ、お姉様にも宜しく伝えて下さい」と神官様は皆とフィリップ様にご挨拶なさる。
「はい。叔母上。伯爵夫人もベルトラント様もお元気でらっしゃいました。叔母上もどうぞお元気で」とフィリップ様が仰ると、神官様は少し目に涙を溜めて微笑み、礼をして、その場を去って行かれた。




