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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 マレシアナは妊娠中の悪阻を理由に仕事をサボっていたことを反省していた。その間に自分への情報が滞ることがあるとは思わなかったからだ。

 しかも事態の解決に真っ先に動いたのは、まさかの“緑色のベル”だった。


 彼女はただ自分の領を守ろうとして動いただけなのだろうが、結果として国の失態を防いだ事にもなった。

 王妃殿下が彼女に会いたいと言い出したのは、てっきりアイザック殿下の側近令嬢が今回のことを解決したから興味を持ったのだろうと思っていた。

 それに、もしかしたら彼女を王子妃に望むのではないかとも。しかし、まさか北の歴史を話し、唯一残していた青薔薇を彼女に授けるとは。

 

 王妃殿下がこれまで生国の北の国について触れたことはあまり無い。

 それに子爵家には、まだこの国すら知らない秘密がありそうだ。


 年末に子爵令嬢が領地に戻るらしい。

 アイザック殿下が自分も行きたいと言い出したが、王太子殿下も宰相閣下も年始の行事を理由に却下していた。しかし彼を行かせたなら、何か子爵家の情報を持ち帰るのではないだろうか…。


 だが、そもそも彼が子爵家に行くと知れたら、周囲は令嬢が第三王子の婚約者に決まったのだろうと噂するだろう。

 大体、彼女自身は子爵家出身だが姉は聖女で伯父の家は筆頭侯爵家だし、従兄弟達は公、侯爵だ。実の兄も伯爵になっている。どこの養子に入ることもできるから王家に嫁ぐには何も問題ない。

 ただ自分に王子ができなければ、もしかすると第三王子が立太子する可能性もある。

 そうすれば、また事情が変わるかもなと思うが、まだ10年以上先の話だ。

 

 第三王子はリリベル嬢の事を否定していたが、一体、どこまで考えているのだろうか?たかが令嬢避けに選んだ側近令嬢とは言え、令嬢の領地の実家に行くことの意味は分かっているのか?

 いや分かってないだろうな。

 秘密裏に動いても年明けの場に彼が顔を出さなければ、直ぐに周りは嗅ぎつけるだろう。


 マレシアナは頭を悩ませる。いっそ野生馬の件を明かして公務にするか…。

 今後、北との国交はまだ不明だ。その件も宰相や大臣達と話し合わないとならないだろう。

 北にとっては小麦の輸入は死活問題だ。東からも輸入はしているだろうが、こちらも北からの輸入品は多いから再開を望む声は直ぐに上がるだろう。


 野生馬の件は女神も絡む話で、神殿とも話し合いが要るはずだ。まずは公爵家所縁の大神官に連絡を取るか。

 マレシアナは目立ち始めたお腹を撫で「ママは全くゆっくりできないわねぇ」と溜め息を吐いた。


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