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 それからも、ちょいちょい殿下とは関わった。言い訳しとくと自分から関わったものはない。それに多分、平等に女子全員と接していると思う。

 そういう気遣い大事だよね王族って。

 

 でもダンスの授業では侯爵令嬢と踊る時より拍手喝采されてしまった。仕方ないじゃん、殿下のやつ難しいステップを途中から入れてきやがったんだから。

 「わざとか?負けてらんねー」と思ったら、めっちゃ気合が入って、とても殿下と意気投合しているように見えたらしい。

 失敗した。これはわざと足でも踏んでやって、

 「こんな難しいの無理ですぅ」の演技だった。

痛恨のミスジャッジだ。

 シャーロット嬢とダンス教師だけが満足そうだった。


 リリベルは昼食をいつもダイアナ様や、後ろの席の子爵令嬢ジャスミン嬢と一緒に学院の食堂で取っている。

 なぜか誘ってないけどシャーロット嬢もいつもいる。


 学院には何ヶ所か食堂があってオシャレなカフェテリアは上級生や高位貴族が多いらしいので近付かない。

 テイクアウト専門の“BENTOO屋”さんもあり、時間が無い時や食堂以外で食べたい時は、このBENTOO屋さんがとても便利だ。ただ何て読むのか?皆、“ベントゥー屋さん”と読んでいる。


 学院の一番広い食堂は1学年の校舎から最も近いのでリリベル達は、いつもそこで昼食を頂くことが多い。

 今日はエビピラフセットデザート付きを選んだ。他のランチもなぜかチキンライスセット、ハンバーグドリアセット、野菜リゾットセット、お米三昧だ。

 食堂のメニューに王女殿下が南の隣国に嫁いだ記念のお米三昧メニューと書かれてあった。

 王女殿下のお陰でお米の輸入が盛んになったらしい。美味しいからいいけど。


 もう1つ、ウドンというメニューがある。これは我が国がお米との交換輸出で小麦を送ったら、南の国でウドンという食べ物になって、こちらに逆輸入されたらしい。

 パスタよりも太麺でモチモチしていて、ショウユというあちらの調味料と魚ベースの優しい味のスープと合わせる料理で、これも、なかなか人気だ。具にカリカリに揚げた野菜のフリッターなどをトッピングするらしい。

 王都にもすでに“ウドン屋”なるものができているそうだ。


 4人でご飯を食べようとすると、いつも数名の男子生徒が「一緒に食べてもいいかな?」と声を掛けてくる。

「4人席なんですけど、どうやって?」とリリベルはいつも思う。そして毎回シャーロットが容赦なく追い払う。

 「お呼びでない」と。ジャスミン嬢が、

 「シャーロットさん、今の伯爵令息達でしたが大丈夫ですか?」って心配しているが、シャーロット嬢はお構い無しだ。

 今日もグッジョブだシャーロット。

伯爵以下の令息に対しては、ほぼリリベルの番犬のようになっている。


 しかしこれはダメなやつだ!

 

 「生徒会長様!こちらですぅ」

 ダイアナ様もジャスミン嬢もギョッとしている。

 いつの間にかシャーロットのテキパキとした動きで4人席が8人席になっていた。

 公爵令息のマレシオン様も「なぜ?」という顔をしながらも、シャーロットの勢いに負けて流れるように席に着いている。

 ご一緒のお友達の方まで。急に周囲の空気が凍る。

 特に高位貴族令嬢のところで。


 「そこは僕達は向こうで食べるよとキッパリ断るところでは?」とリリベルが言うと、

 「ご、ごめん」って反射的に公爵令息が謝る。

しかし彼はハッと我に返って、

 「今日は米料理か。王女殿下の婚礼記念だものな、めでたい」

と誤魔化すように気を取り直して食事をし始めた。

 他の令息もスルーして食べ始める。やっぱりここで食べるんかい!って思ったけど。リリベル達も食事を開始する。

 時が惜しい。

 

 「会長様!ハンバーグドリア、お揃いですね〜」

ってシャーロットだけがご機嫌だ。

 

 シャーロット!!お前が強制力だろ!

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