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秋の終わり、北の国の外交官達が自国に戻る挨拶の為に、王城に登城してきた。
彼らはいつも新年を自国で過ごしており、冬で道が閉ざされる前に帰国して、また春に戻りその時も挨拶に訪れるそうだ。
春に戻ってくる時は王妃様に自国の懐かしい菓子など、お土産も持って来るらしい。
本当にただの挨拶なんだと思う。それに彼らは普通にただの外交官なのかもしれない。だけど北の国の人を見てみたい。
それは子爵領に住んでいる人ではなくて、ちゃんと北の国の人だ。
あれからマリィ姉ちゃんに聞いても、北から意図的に防御壁へ接触してくるような気配はなかったそうだ。
もしかしたら、もう諦めたのかもしれないし、北の王家は知らないことなのかもしれない。
でもリリベルは自分自身で、もう大丈夫だという確信を持ちたかった。
リリベルは外務省職員に扮してエリオット様の後ろに控えることになっていた。北の国の色に似た金髪は目立つから茶髪のカツラを用意された。
王族との謁見は、広間であった。
王族は国王ご夫妻と王太子殿下にザック殿下だ。
今回は王太子妃様は妊娠の体調不良を理由にご不在だった。
そして宰相閣下と外務大臣に外務大臣補佐のエリオット様。
リリベルは存在感を消して職員のふりしてエリオット様の後ろに立っている。
北の国のご一行は外交官と思われる貴族が3名いる。
後は職員?15人いて文官ぽいけど半分は護衛じゃないのかな?
武器は広間には持ち込めないけど、なんか雰囲気が騎士っぽい気がする。
全員の外見は金髪もいるけど、この国と変わらない色合いの風貌が多い。この国で浮かない為だろうか?
まあ子爵領の脱北者も様々な容姿だったしな。
外交官は陛下に挨拶した後、王妃様に「また春に挨拶にお伺いします。その時はまた懐かしいお菓子と次回は特別な贈り物も予定していますよ」と言っていた。
特別な贈り物って何だろ?北の特産品かな?
リリベルは、そっと広間を出て彼らが乗る馬車の馬車止めに行ってみる。
彼らの家族は先に戻ったのかな?
馬車の台数よりも騎馬が多い。
武器を持っている騎士は広間に入れないから、ここで待機なのは分かるけど騎士が多いな。そして騎馬は白馬が多い。
もしかして馬も色素薄いの?それか白馬が好きなのか?だから子爵領の野生馬が欲しいとか?うーん分からん。
特に普通にも見えるなぁ。問題なしかな。
北の外交官達が去った後、リリベルはエリオット様達と外務省に戻り、エリオット様にお礼を言って戻ろうとした。
その時「リリベルは何か感じたかい?」とエリオット様に聞かれた。
リリベルは少し考えて「エリオット様、外交官達の家族は先に帰ったのですか?」と聞くと「彼らは最初から家族を連れて来ていないんだ」とエリオット様は仰った。
まさか国に人質にされたりしてないよな?
と一瞬、疑ったけど「外交官と文官達に比べて護衛騎士の人数が多い気がするということと、文官の半分は騎士じゃないか?ということ、そして騎馬に白馬が多いことが気になったくらいかな」と言うと「そうか」と仰った。
多分、エリオット様や他の人でも気付くぐらいの内容だったよね。
最後にエリオット様は「満足したかい?」って聞いてきた。
これはリリベルの我が儘を聞いてやったんだぞ!ってことかな?
でも確かにそうだ。
だってザック殿下には「ダメだったゴメンな」って言われていたし、あの場の面々を見たら子爵令嬢なんて行ってはいけない場だったと分かる。
だけど国境に住む子爵家代表だったのだ。
あの場は場違いでは無く当然の権利だったと胸を張れる。
だからリリベルはエリオット様には、自分はさも分かっているかのように「王妃様への特別な贈り物って何だと思う?」って思わせぶりに言って逃げてきた。
エリオット様、きっとモヤモヤするね。
さて私はまだやる事がある。
マリィ姉ちゃんにも報告だ。




