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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 ザック殿下はお願いして下さると約束したが、確定ではない。

 リリベルは念の為に根回しを更にしておく必要があるだろうと、休日に侯爵家に戻り伯父に相談した。


 伯父は「だったらエリオットに言うと良い」と直ぐに連絡して下さった。

 エリオット様も、ちょうど在宅してらしたようで「侯爵家に遊びにおいで」と言って下さった。


 リリベルは米酒と高級菓子と、何となく思いついてマティアス氏が描いた舞台パンフレットの試作本、本人サイン入りを持って侯爵家に向かう。

 侯爵家に到着すると直ぐに執務室に通されたが、エリオット様と侯爵家当主の外務大臣がいらっしゃって、ちょっと驚いた。

 しかしリリベルは令嬢をしっかり被ってスカートを摘んで挨拶をする。

 そして米酒を大臣にお渡しすると、大臣が「これっ!!」と仰って、すごく喜んで下さった。


 さすが外務大臣だ。米酒もしっかりご存知なのだなと、飲み方の説明は省く。多分、エリオット様もご存知だ。

 「これはララが帰国した時に持ってきた物かい?」とエリオット様が聞くので「そう」と頷くと、

 「普通、上司から先に持ってこないかな〜」とエリオット様は不満げに仰った。

 リリベルはララ姉に後で手紙でコッソリ耳打ちしておこうと思った。


 リリベルが子爵領の事情を二人に説明すると、エリオット様が、

 「王国騎士団からの報告は、こちらにも入っているよ。大臣がこの件は担当される予定だなんだ」と教えて下さった。

 でも大臣直々に?!とリリベルが驚いていると、

 「王妃様が絡むから国家間の問題は慎重なんだ」とエリオット様が仰る。

 これからどうするか考えるけど、北の外交官が挨拶に来る時はリリベルが、その場に参加できるようにするよとエリオット様は約束して下さった。

 さすが現場の責任者に頼むと早いわ。


 リリベルが感謝を述べて帰ろうとすると、エリオット様が、

 「妻を紹介したいから、お茶でも飲んでいかないか?」と誘って下さったので、「ぜひ!」と返事をしておいた。

 エリオット様の奥様は結婚式で、ご挨拶したぐらいしか面識がない。多分、そうなるかなとリリベルも予想はしていた。


 エリオット様は侍女にリリベルを頼んで「後で参加するから先に行ってて」と仰ったので、侍女さんについて行くと陽当たりの良さそうな応接室に案内される。

 リリベルが入室するとエリオット様の奥様だけでなく、アイリーン様だ!

 リリベルが「お義姉様」と言うと、アイリーン様が、

 「キャー!リリベルちゃん!」と駆け寄って抱き締めて下さる。


 最近、この流れが多いせいでザック殿下を抱き締めてしまったのかな?とリリベルが考えていると「ちょっと、アイリーン!」って仰る方は、ライ兄の奥様だ。

 そしてその隣にエリオット様の奥様のビアンカ様、その隣はお義母様の侯爵夫人だろうか?


 リリベルはスカートを摘んで挨拶をする。

 「子爵家のリリベルです」と。

 「わー出会った頃のマリベルみたい」とビアンカ様が仰った。

 「そうね。夏に伯爵領で夫が世話になったわね、リリベル嬢」と公爵夫人が仰った。

 だが、こっちも色々と世話になってるよと思っていると、

 その時「あー私がお産で苦しんでた時だー!」とアイリーン様が仰った。


 そうだったわ!とリリベルは「お義姉様、直接お祝いを言うのが遅くなりましたが、お嬢様の誕生おめでとうございます。お義姉様もお元気そうで良かったです」とニッコリ伝える。

 「あーリリベルちゃん。可愛い」

 リリベルはアイリーン様に、「こっち」と引っ張られて隣に腰掛ける。


 「直ぐに空気を読むとこもマリベルそっくり」とビアンカ様が仰る。マリィ姉には、そんなに似てないと思ってたけど。抜けてないし。少し不本意だ。

 伯父に持たされた高級菓子を広げると、

 「このチョコ、1年前から予約しないと買えないチョコレート!」と侯爵夫人らしき方が目を見張る。

 知らんかったわと思ったが「伯父が持たせてくれました」とニッコリ言っておく。どんどん食べて。


 「そう、さすが筆頭侯爵家なのね」とさっきから、リリベルに対して、あまり当たりがよろしくないような雰囲気の公爵夫人にはこれか?と思って差し出す。

 「あの、これ年明けに上演予定の舞台のパンフレット、まだ試作品なんですが」と試作本を見せると、リリベル以外の全員がガバッと立ち上がった。

 大丈夫か?皆様、高位貴族なんじゃ?と思ったが、スルーしておく。

 そしてお茶会の方は和やかに終了した。

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