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生徒会長マレシオンは、姉である王太子妃の所に来ていた。
彼女は妊娠中の悪阻が一人目の時より重く、公務を減らしていた為、最近では王太子宮の私室にいることが多い。
「まあ、マレシオンどうしたの?」
「姉上っ!細い、細いって令嬢に言われました。私は細くて非力に見えるでしょうか?」
久しぶりにマレシオンが泣き付いてきた。よっぽどショックだったのだろう。
確かに彼は細身でスラッとしている。多くの貴族のご婦人方が好む体型なのではないだろうか?
しかし最近、娘が大きくなってきたことを理由に、王太子殿下が体を鍛え始めた。元々、毎日の鍛錬を欠かさない人だったが、それに輪をかけて筋肉を鍛え始めたのだという。
食事も油っこい物が食べれなくなった自分に合わせて、サッパリと高タンパクな物を共に摂るようになった。
それは第三王子にも影響を与えていて、元々騎士だったライオット卿は別として、王太子殿下、第三王子殿下も最近では何か以前より一回り程、体型が大きくなった気もするのだ。
王族の男性にこういう傾向があれば、今後、貴族の令息も鍛えて逞しい体型の男性が好まれていくかもしれないなと思ったマレシアナは「今はまだ、あなたのような体型がご婦人方には好まれていると思うけれど、今後はある程度、逞しい男性に好みが変わる可能性はあるかもしれないわね」と伝える。
明らかにムキムキよりは、恐らく着痩せする男性だろう。
そう思ったマレシアナは弟に、ほどほどに鍛え着痩せする「脱ぐと凄いんです男子」を目指すようアドバイスする。
マレシオンは目を輝かせて「姉上ありがとうございます。姉上に話してスッキリしました」とそう言った。
「ところで、あなたに細いなんて言った令嬢は誰なの?」
公爵令息にそんな事を言える令嬢、しかもマレシオンが細いと思うほど接触した令嬢とは?従姉妹のマリアンヌか?それぐらいしか浮かばないが…。
マレシオンは言いにくそうに「リリベル嬢です」とそう言った。
彼は第三王子殿下がクラスの演し物で忙しくしている合間に、リリベル嬢と少し良い雰囲気に持っていったそうだ。
彼女が不意打ちで、よろめいた時も支えて抱き締めたはずだったが、抱き締めた瞬間「細っ」と言われたそうだ。
抱き締められたことよりも、迷いなく感じた感想がマレシオンの体型のことだったという。
マレシアナは弟には悪いけど、ちょっとウケた。
一癖も二癖もあって、どこか一筋縄ではいかないのだ。もしかすると第三王子殿下が鍛え始めたのも、彼女が理由かもしれない。
それに最近は学院からの帰城後も、夏休みの間も真面目に勉強と王子教育を受けていたのだと言う。
なるほど。彼女は姉と違って男性に良い影響を与えるようだ。
マレシアナは少し彼女に対する考えを改める事にした。
マレシオンはきっと姉が、リリベル嬢の事を更に悪く思うのではと心配したのだろう。不安そうにこちらを見てくる。
そんな彼にマレシアナは「彼女は良い事に気付かせてくれたわ。マレシオン、あなたは今でも理想の男性だけど身体を鍛えたなら、もっと最強の令息になれると思うわ」とそう言って微笑んだ。




