エピローグ
そんなこんなで、とうとう既婚者になりましたよ!
まさか私が結婚するなんて!3年前の私は、一切思っていなかったわ。
ザック殿下ばかり成長したみたいに言っているけど、私もかなり変わったんだと思う。
そもそも恋をすると人って変わるし、成長もするのね。
私の恋は始まったばかりだったのに、もう結婚するなんてちょっと短距離走過ぎる。
だけど、絶対これがゴールじゃない。まだまだ、これから信頼し合って仲を深めていくんだって思う。だって恋のライバルすら出てきてないんだよ?これから夫の浮気疑惑とかヤキモチ妬いたりする事も、一杯あるんだろうな。
でもきっとザック殿下はカテリーナ様のお父様のようにはならないと信じてる。
結婚式後…やはり、皆様が気になるのは初夜の事でしょう?
ハハハッ乾いた笑いしか出ないわ。
ザック殿下はその日、皆に飲まされた。エールに米酒にアップルワイン〜とにかくチャンポンさせられて、その日は死んだと思ったが根性で寝室にやって来た。
だが姉に贈られたピンクの可愛い寝間着姿のリリベルを見て鼻血を出して、そのまま倒れた。
「あ〜あ」だ。
だが鼻血を出したのは実はこれが初めてではない。
結婚式に至る前にも、あれやこれやとあったのだ。だからまさか本番でまで鼻血を出すとは思わなかった。
ま〜でも、その初々しいドキドキも今となっては良い思い出だ。
結婚式が終わって2週間後、私達は新婚旅行に出た。
旅行期間は半年間だ。式には各国の王族は招待しなかった。
だから御礼行脚を新婚旅行と言う名の下に半年かけてする事になったのだ。
まず最初に行く事になったのは北の国だ。
なぜなら、また迎えに来たと言わんばかりにサオリがやって来たからだ。サオリは今度はセノビックを連れて来た。ナル兄ちゃんが侯爵家で2頭を見つけて直ぐに連絡をくれたのだ。良かった。まだ兄ちゃんが残ってくれていて。
だがスネイプニルでの旅に護衛をつけられない事で、最初は皆に反対された。しかしたくさん魔石を身に付けて行く事と、所在をまめに報告する事で許され、結局は前代未聞の2人きりで旅に出た。
北の陛下のご好意で、サオリもセノビックもそのまま貸して頂き次は東の国を訪問した。その次は南の国に移動して、最後は火山の国を訪問してから西の国に帰国した。
各国での出来事も、皆さんお聞きになりたいだろうか?
どうせ私が普通の旅を出来ないだろうと思ってるんでしょ?
でも事件なんて一つも起こってないからね!だから期待しないでね。
戻ってからザック殿下は半年遅れで宰相府に入った。
そして産休で休んでいるガブリエラ様の代わりに、補佐官代理として頑張っているフィリップ様の下に就いた。お二人は職場では以前と立場が逆転するという微妙な事態になっているが「フィリップは容赦ない」とザック殿下は仰っていた。
さすがフィリップ様だ。長年、二人の王子を扱っていただけある。
そしてリリベルは王城の庭師になった。
学院卒業後に陛下に待ってもらっていた“お願い”を叶えてもらったのだ。
最初、お伝えした時は本当にびっくりされたけど、でも直ぐに動いて下さった。お陰でリリベルの職場は王城の菜園や数カ所の庭と温室だ。私の能力を最大限活かせる場所だ。
でも王子妃として慈善活動もちゃんとマメにしている。
他にもお知らせするとしたら、ちょっと年次がバラバラになるのだけど‥‥
まずはアイリーン様は次は男の子をご出産された。だけど、やはりまた自分2世だった。
ララ姉ちゃんの出産後、王太子妃様のお陰で出産前には神官様が陣痛の痛みを和らげる治癒魔法をかけるのが主流になり、お産の苦痛が減った。
その事でアイリーン様はまだ妖精を産む事を諦めていない。
だが彼女は王太子妃様の侍女に復帰後、バリバリの仕事のできる侍女長となり王太子妃様を助けている。
更にマリアンヌ嬢が学院卒業後、王太子妃様の補佐官に収まった。
シャーロット嬢はお祖母様の意向で王妃様の侍女になった。その後、あるお方とご結婚された。そしてその後も王妃様の侍女を務めあげ、引退されたお祖母様の後を継いで王族の子息のマナーや作法を教えている。
ララ姉ちゃんは南の王女殿下が結婚した2年後、次に東に派遣され東の国で外交官を5年務めた。その後、南の国にまた戻り、その時に伯爵位を陞爵されて南の国の総領事になった。
アンドリュー王子は13歳で無事に龍をもらって“アンド龍”になり、リーナベルちゃんに恋をしているらしい。
ナル兄ちゃんも、私の結婚の1年後に結婚した。
アイオット様のご長男はそのまま第一王女殿下にロックオンされ、婚約者となり学院入学前から王配教育を受ける事になってしまった。
それによりナル兄ちゃんが小侯爵として筆頭侯爵家の後継に繰り上がった。
侯爵家のご長女は東の国の第二王子殿下に嫁ぎ、王太子となった第一王子殿下は北の国から金髪碧眼の王女殿下をもらい、ご結婚された。
ラント様はマリィ姉ちゃんの任期が残り2年となり、新たな聖女候補が集められ、姉ちゃんとの仲を進めるチャンスが来たが、奥手過ぎて彷徨っていたのでリリベルが強引という名の下「とにかく毎日会いに行け!」と背中を押した。
女神様の助けもあって無事に婚約まで辿り着いた時は一番に報告に来て下さった。真面目で律儀な人だから、先に号外で知ってしまった事はザック殿下と黙っておいた。
マリィ姉ちゃんは結婚後はしばらくラント様のお仕事を支えていたが、ナル兄ちゃんが小侯爵になった事を受けて、二人で子爵領に戻り、結局、子爵家を継ぐのはマリィ姉ちゃんになった。
その後、三人のお子様に恵まれるが、お子様の容姿は全員が妖精で長男はベルキスト、長女はイザベル、次女はアナベルと名付けられリリベルを震撼させた。
でも伯父は嬉しそうで晩年は子爵領の別荘に移り住み、実の祖父よりマリィ姉の子供達の良き爺やになった。
10年後、リリベルはこの頃からザック殿下が王家を抜ける日を指折りで数えながら、王族の務めを果たしつつ、地味に王城の庭師を務めていた。
リリベルの管理する温室にはいつでも何か果物がなっていて、王城勤めの誰かがいつもお茶を飲みに来るという逃げ場?もといサボりの場となっていた。
一番来たのはザック殿下の次に…シャーロットを連れた王妃様だった。
ザック殿下とリリベルがその後、無事に王族を抜けられたのか?二人に子供はできたのか?どうなったのか気になるかな?
それはまたいつか皆様にゆっくりお話し出来るといいなと思う。
決してもったいぶっている訳ではないので許して欲しい。多分、聞いてもそんなに変わった事件もない普通の日常の話だから。
私達は10年経っても仲良しだ。
そりゃあザック殿下はモテるけど、殿下も私も互いを容姿で好きになった訳じゃない。
新婚旅行で北に向かう旅の途中でザック殿下は仰った。
「なぁリリ、北の女神様は気に入った男性を13人も妹神に奪われたと仰っていた。我々の西の女神様が姿を見せない理由って、きっと女神様は嫌だったんだろうな。無条件に女神様を好きになり、虜になる人間を見たくも作りたくもなかった。だから我々、人に姿を見せないんだ。そうじゃないか?」
「うん。多分そうだと思ってた」
私はそれに気付いてから悩んだ事があった。
もしかしたら私に好意を寄せる人は、女神様に似ているから好きになるんじゃないか?って。
「同じように似ていても、君は一目で人を虜にしないから俺としては良かったと思う」
「うん。そこは神様とは存在感とかオーラも違うし、中身が違えば、人からの見え方も違うんだと思うけど」
「そうか。そうだよな」
「きっと女神様は中身もすごく魅力的な方なんだよ」
「神様だしな。でも俺は君がいいよ。美しくても気取らない。能力があってもひけらかさない。時々、男装もするし、今もな(笑)でも、そんな君が大好きだ」
リリベルは赤い椿の花言葉を思い出した。
ザック殿下はちゃんと花言葉を分かってあの髪飾りを選んだんだなって思うと嬉しくなった。
それから赤い椿の花はリリベルの一番大好きな花になった。
END




