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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 それから第三王子殿下と私の婚約が公に発表された。

 もちろん新聞の号外も出た。なんせ子爵令嬢から王子妃へのサクセスストーリーだ。国民の皆様はとても熱狂した。

 だが活字をよく読むと三国と大神殿のお墨付きという、誰が真似できるねん?っていうオマケ付きだ。


 ララ姉ちゃんには早速、大爆笑された。

 ララ姉は育児をしながら下着のデザインを書き溜め、時々、侯爵夫人の出版事業も手伝いながら、この国で社交も始めた。

 南の国の夏は暑いので、それを過ぎてから帰国するらしい。


 ナル兄ちゃんからも手紙が来た。

 兄ちゃんも侯爵領のお仕事と恋愛に頑張っていて、王都には帰る暇がないそうだ。多分、伯父もアイオット様もナル兄ちゃんに領地を丸投げしている気がするのだけど。


 子爵家の父からは「リリ、おめでとう。だがこれから厄介だな。子爵家には持ち込むなよ」って短い文が来た。

 やっぱり父だ。


 そしてサオリとタナカは南から戻って2日後に、いきなり消えていなくなっていた。せっかくバナナを持って行ったのに、お別れも言えず去って行ったのだ。まあ恐らく子爵領か北に帰ったのだろうけど。

 ナル兄のセノビックも消えたと言っていたから、やはりスネイプニル達は気まぐれなのだ。でも、またきっといつか会える気がする。来る時も気まぐれだから。

 

 そんな中、学院の新学期が始まった。

 リリベルは散々悩んだが、最初くらいは令嬢姿で登校した。今もリコピンが護衛に就いてくれている。だって王子殿下の婚約者なのだから。

 本来は王城から近衛騎士が派遣されるらしい。だけど元騎士団長の権限で私の護衛の座をもぎ取ったそうだ。


「リリベルさーん、ご機嫌よー!」

 やっぱり登校して最初に会うのはこの人だ。面倒な人ではあるが、彼女はきっと私が王族に片足突っ込んでも変わらない人だろう。

「おはようございます。シャーロット嬢」と返すと「ちょっと!リリベルさん成績発表見ましたか?」と言われて、そう言えば初日は成績発表とクラス発表だったと思い至る。


 リリベルが成績とクラス分けが張り出された掲示板を見に行くと、リリベルもザック殿下も元生徒会のメンバー全員が1組だったが、最終学年の首席は1学年の時に首席だった侯爵令息だった。

 彼は教室で申し訳なさそうにしていたので「令息、首席おめでとうございます。」と伝えると「はいっ!」って飛び上がっていた。


 そんなに恐縮しなくてもリリベル的には首席を目指していた訳ではないから別にいいのだけど。

 しかし期末テストの点数自体はリリベルもザック殿下も令息よりも少し上だった。だが今回は授業の参加日数と授業への貢献度が重視された。それで皆勤賞で真面目に授業に参加した侯爵令息に教授点を加算された結果、首席となったのだ。


 教授達、ちゃんと見ていたんだな。

 例え王族がいたとしても真面目に頑張る人を評価したんだ。ちっとも文句などない。きっとザック殿下もそうお思いになるだろう。


 新しい生徒会長にはアイオーン様がおなりになった。

 マリアンヌ嬢とは接戦だったそうだがアイオーン様がわずかの差で首席をもぎ取ったそうだ。

 フィジー嬢は相変わらず、自分の興味がある事だけ頑張ったみたいだ。


 また新入生が入って来て、生徒会は新メンバーでスタートした。

 リリベルはザック殿下と最終学年を過ごしながら学院の授業と王子妃教育も受けている。幸い、教師の方が学院に出向いて下さっているので王城に通わずに済んでいる。

 リリベルは学院の選択科目の一つとして王子妃教育を受けている感じだ。教育を担当して下さっているのは子爵領にいるお爺ちゃんの娘のトンガ教授だ。


 トンガ教授は王太子妃様や王女殿下を教育した女性王族に特化した先生で今は第一王女殿下の教育をされているそうだが、王女殿下は4歳でまだ小さいので暇だからリリベルも教えようと言って下さったそうだ。

 しかも自分の父が教えた最後の貴族の子という事で興味も持たれたらしい。


 トンガ教授との授業は少し緊張したが、お爺ちゃんによく似た先生だった。最初はほとんどお爺ちゃんの子爵家での話や子爵領の話だった。そして私が王都に来て学院に入ってからの出来事など、ずっと会話に終始した。

 王子妃教育とはもちろん、教養や語学、作法やマナーなども大事だが、いかに国家目線で、また時には国民目線で物事を捉えられるかが大事なのだと、私の話を聞きながら仰るのだ。


 確かにそれって、王太子妃様がそういう方だ!って、すごく思った。それはトンガ先生の教えなんだなと改めて感じた。

 そういう考え方が身に付いてきたら国の法律や王族の仕来(しきた)りに当てはめながら、また考えていくらしい。

 内容によって語学や歴史、貴族の事などを散りばめながら話を広げていくで、その為の予習は結構大変だった。


 でもやっぱりお爺ちゃんと一緒でトンガ先生も私のペースに合わせてくれる、とても良い先生だった。

 そして作法とマナーは別の先生だ。

 その先生とは…もちろんシャーロット嬢のお祖母様だ…。

 その授業は王城で行われる。

 初対面はめっちゃ緊張した。

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