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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 その後、ザック殿下はまだ帰国されていないのに、先に王太子妃様からリリベルにお呼び出しがかかった。


「直ぐに帰国の報告が来ると思ったのだけど」

「ザック殿下がお戻りになってからでもいいかな?って思いまして」

「…昨日、早馬での報告が来たわ。でもあなた方は、ずいぶん先に戻っていたようね?」

「はい。神殿と聖女様への報告は済ませておきました」


「‥‥もういいわ。いつだって王家があなたの中では後回しなのね?」

「王太子妃様はカテリーナ様のお母上の、王妃様の日記を読まれたのですか?」

「ああ〜。それで怒っているのね?いいわ。着いて来て」

 王太子妃様に連れられて、リリベルは一緒に王城の奥に進んで行く。


「そっちは王家の宝物庫なの」

 途中の城内の分かれ道で王太子妃様はそう仰った。

「そんな事、聞いてもいいのですか?」

「どうせ王子妃になるでしょ」

「えっ!それは…まだ…」

「第三王子が王家を抜けるまでは王族よ。それまで結婚を待つ訳ではないでしょう?」


「それは待つとしたら、どれぐらい待つ感じなのでしょうか?」

「王太子殿下が国王に即位して第一王女が王太子に内定するまでよ」

「それって10年以上ありませんか!?」

「だから、それまであなたが第三王子妃でしょ。ああ着いたわ。この部屋よ。明かりを灯して頂戴」

 王太子妃様が、先導する近衛騎士に指示すると騎士様が明かりを点ける。するとたくさんの絵画が並んでいるのが見えた。


「ここは…」

「そうよ。歴代の王族の肖像画の間なの」

「うちよりカラフル」

「‥‥そうね確かにね。子爵家は北寄りの容姿だものね」

「そう全体的に薄ぼんやり」

「北の王家を馬鹿にする事にもなるからお止めなさい!」

「はいっ!」


 王太子妃様は奥に進みながら一枚の絵の前で止まる。

「見せたいのはこの肖像画よ」

「はっ!これ…」

「そう少し似てるでしょう?」

 その肖像画に描かれた青年はザック殿下に似ていた。

「この方は…」

「そうよ。カテリーナ様のお父上で国王陛下だった方よ」

 わーやっぱり。


「私は王太子殿下の方がイイ男だと思うけど、確かに彼は美しくてモテそうな人でしょう?」

「はい。でもアイザック殿下の方がずっとイイ男です」

「そうね。でももう少し彼が歳を重ねれば、もっと似てくると思わない?」

 なんて恐ろしい事を!


「あなたは、あの日記を読んでどう思った?王妃目線だから、どう考えても国王は悪人でしょ?残念ながら国王の手記は無いから彼の言い分は分からないの。兄弟が大好きな王太子殿下が守りたいのは、王妃ではなく、カテリーナ様でも、オリベル王女でもない。そういう事よ」


「でも国王陛下は王妃様が好きだった。だから最後に正気を失ったのでは…」

「それも定かではないわ。良いように脚色されている可能性もあるし。でも日記の内容はアイザック殿下には話さないでね。せっかく王太子殿下が隠してるんだから」

 納得できるのか、できないのか?分からないままリリベルは王族の肖像画の間から出た。


「早馬からの報告書は読んだのよ。それには「火山の国が縁談を取り下げ円満に解決した」としか書いてなかったわ。実際に本当に円満だったのかしら?」

「疑ってます?」

「別に良いのよ。どのような形でも縁談を取り下げてもらったんでしょ?それにあなたが我が国に不利益になるような事はしないと分かっているし」


「それは私の事、買い被り過ぎでは?」

「そんな事ないわ。あなたは自分が損をするような事は絶対しない主義だから。でも損をするタイミングも分かっている。だからタダでは起きないでしょ」

「赤い髪のリストは、かなり役に立ちました」

「そう。あれが…あんなのが役に立ったのね?」


「とりあえずザック殿下への縁談は諦めてもらいましたが、婚約者のいない方には今後、どうなるか分かりません」

「そんな事はリストを作った時点で想定済みよ。でも確かに今、アイザック殿下よりも年下の子達が、どうなろうと知ったこっちゃないわね。本人達が決めてやる事だし」

「その中には第二王女殿下もおられますが」

「まだ1歳になったばかりよ。それこそ先過ぎるわ」

 王配様に絶賛お勧めした事は黙っていよう。


「またアイザック殿下がお戻りになってから、色々あると思うけど、とりあえず「おめでとう」だわ。これでアイザック殿下はあなたのモノよ」

「ありがとうございます。でも正直…王子妃は荷が重いと言いますか…」

「そうねぇ。子爵家からだから異例といえば異例よね。どこかの養女になる気もないのでしょ?」

「はい」

「まあ、その辺はどうにかなるわ。アイザック殿下が将来、王族を抜ける前提に進めるし、別に高位貴族でなくとも周囲を納得させる材料はあるの。だけど殿下以外にも褒美をあげれるわ。何か希望はない?」

「ん〜直ぐには…」

「恐らく、アイザック殿下がお戻りになったら陛下にも聞かれると思うの。だから先に考えといて」

「分かりました」

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