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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 ザック殿下と私はいつの間にか眠ってしまっていて、起きるとすっかり日が昇っていた。

 神様達はペンと栞と髪留めに戻っていて、リリベルの側に落ちていた。

 あれから最後まで逢瀬を楽しむ事ができたならいいけど。

 

 サオリを探すと倉庫でバナナを食べていた。ちょっと食べ過ぎじゃない?カロリー大丈夫?

 店の水場で顔を洗って、人の形のまま石になってしまった人達を改めて見る。

 神様はやはり畏怖する存在なのだと実感する。

 でもこの人達は神官様の解呪の魔法できっと人に戻れるはずだ。


 店の中に鞍がないか探すが馬車と馬だけで鞍は無かった。

 危ないけどまた裸馬だ。でもサオリはザック殿下の事も乗せてくれるみたいだし、これまでだってリリベルを落とすような事は一度も無かったから大丈夫かな?

 一応、風の魔石もあるし。


 二人でサオリを連れて外に出ると、バナナを買いに来た人がいた。やはりここはバナナの販売所だったのか?と思ったが、その人は「バナナではなくダイナミック・バナナを買いに来た」と言った。


 ダイナミック・バナナ?とリリベルが考えていると、ザック殿下が「ここは摘発されるから、もう二度と買う事はできない。お前も捕まりたくなかったら二度とかかわるな」と仰った。

 その人は慌てて逃げて行ったけど、もしかして?

「多分、俺や護衛の武士が盛られた薬物だと思う」

 やっぱり!


「薬物の摂取はペンでも防げなかった。恐らく少量を使用すると麻薬効果があるのかもしれないな。俺達は君を待っている時にバナナマフィンだと言って、南の使用人と思われる人に差し入れを貰ったんだ。朝食がまだだったから安易に食べてしまった。だから量も多かった。本当に危なかったな。護衛の彼も心配だな」

 本当にそうだ。でも看板に西の言語とはいえ“ダイナミック・バナナ”と書くとは安易過ぎないか?とちょっと思った。


 サオリに乗ろうとすると「リリベル嬢、裸馬で来たのか?」と殿下に驚かれた。

「急いでたから」と言うと「それにこのマント、聖騎士のだし。本当に行き当たりばったりで出てきたんだな?」と笑われた。

 人の気も知らないで!


 風魔法はかけるけど飛ばしてやるっ!って思うとサオリに伝わったのか人気の無い街道を飛ばし始める。

 もちろんサオリは直進主義だから、王都への復路も色んな所を「失礼します」した。

 ザック殿下はリリベルの腰に後ろからしがみ付きながら、その度に「うわー!」と叫んでいて、リリベルの気も晴れた。


 サオリがスピードを落として王都の街が見えてくると、私達を探していた武士様達と合流できた。

 たくさんの武士様達が夜通し探して下さっていたみたいで、もう少しで王都の外まで捜索を広げるところだったらしい。

 皆様に「見付かって良かった」と言って頂いて本当に感謝した。


 無事にお城に戻るとたくさんの人が待っていた。

「お嬢様!」ザックさんまで来て下さっていたの?

「お嬢!」「リリベル!」リコピンやエリオット様、皆様にもたくさん心配をかけた。


「アイザーック!」王太子妃様も泣きながら走って来た。

 殿下は素早くサオリから降りて「姉上、ご心配おかけしました」と駆け寄る。

 リリベルもサオリから降りると、ラント様が「お疲れだったな」と言って下さったので「ラント様、ありがとうございました」と、マントを脱いで返す。

「ああ。役に立って良かったよ。サオリを預かるよ」

 と言ってサオリを厩舎の方に誘導しに行って下さった。


「よくアイザックを連れ戻ったな」

「ビーバーちゃんは、だからやるって言ったでしょ」

「よく頑張ったな」

 南の王族の皆様にも心配され、労って頂いて本当に有り難かった。

 

 それから殿下とリリベルは温泉で疲れを癒やして、ご飯をたっぷり食べて関係者が集まる中、事情聴取となった。

 その場には火山の国のお二人もいた。

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