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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 ザック殿下の到着が延期になったが、はっきり、いつ到着なのかも伝えられていない。火山の国に対する抗議らしいのだが、誰の発案だろ?あまりメリットがない気がするけど。

 だがリリベルには時間ができて有難い。結構、護衛様とだいぶ親しくなれた気がするんだよね。


 あ!テントから護衛様が出て来た。

 また一人で庭園の端に腰掛けて、溜息混じりにボーッとするのだろうか?リリベルが護衛様に近付いて隣に座ると

「見習い少年か?もうカレーの話は全部した気がするな」

 と悲しそうなのに笑った。


 護衛様は、とっても良い人だ。だけどこの人はこの国に来て、ずっとこんな顔ばかりしている。

 彼は多分、ザック殿下が王配になったら、2番目でもジッと我慢していそうだ。それにザック殿下の事もきっと蔑ろにしないだろう。だけど彼は彼の心は大丈夫なのだろうか?


「護衛様は女王陛下が第三王子と結婚する事に賛成なんですか?」

「私の意見は関係無いんだよ。彼女は女王だから、その役目を果たすんだ」

「女王の役目には当事者の気持ちは関係ないの?」

「それはそうだ。国の為だからね」

「赤い髪が国の為?」

「赤い髪はフェニックスの羽根だ。金の瞳はフェニックスの瞳。二人が一緒になれば国民はきっと大歓喜するよ」


 なんだ、それだけじゃん。

 それに大歓喜なんて長続きしない。

 王族の悲しみの上に成り立つフェニックスに国民は安易に喜ぶのか?それこそ心ある国民を舐めている。

「君には分からないだろう。国の事、民の事、神獣がもたらす影響の事を」

 いや、めっちゃ考えてきましたよ。

 だって私も王子殿下と一緒になる決意をしたんだよ?


 リリベルは部屋に戻りながら考える。

 きっとザック殿下との婚姻は女王陛下も本意ではないのだ。

 だが周囲に望まれ、せっつかれ、なんなら女王に推してやったんだからと言われたりしたのかな?

 呪いの事といい、敵はあのオッサン達か?!


「あのオッサン達は宰相の弟で女王の従兄弟だよビーバーちゃん」

「王女殿下、やはりアイツらが真の敵か?」

「怒るビーバーちゃんもカッコいいね。でもザック君に譲っちゃおう。じゃあね」

 相変わらず、いきなり現れるな?と王女殿下が去るのを見送っていると、後ろから急に誰かに抱き締められた。


 まさか?「ザック殿下?」

「当たり。もっとビックリすると思ったのに」

「肘鉄入れて投げ飛ばさなくて良かった」

「おっかないな。俺の恋人は…また男装してるし」

「うん今はね。それよりどうしたの?いつの間に?」

「普通に来たんじゃ面白くないからな。呪いのせいにして予定に遅れる事にした。あちらの様子も見たいだろ?それより移動しよう。ここは誰かに見られる恐れがある」


 ザック殿下に着いて移動すると意外な場所に連れて行かれた。

「ここ使用人の住まいなの?」

「そう家族向けの住居だから広めなんだよ。部屋も3部屋あるから俺と外務大臣補佐官とリコピンで使う予定だ。ちなみにマレシオンは姉上の侍女の従姉妹殿の所に行っている」


「ガブリエラ様は?」

「また王族と同じ棟に世話になる。君は大丈夫か?貴族用の客室なんだろ?」

「私も東の神様のペンがあるから呪いは平気。まだ存在もバレてないし、あちらの人にはラント様に付く騎士見習いだと思われてるの。恐らく勝手に北の人間だと勘違いもされてると思う」


「確かにラント兄上とは似てないが容姿の色は近いもんな」

 殿下に案内されて建物の中に入ると「おぅお嬢!無事に会えたな」とリコピンに声をかけられた。

「そして呪術専門の神官殿だ」

 少し年配の女性神官様が軽く会釈をされたので、リリベルも会釈を返す。

「神官殿も狙われる可能性があるから従姉妹殿と同じ棟に泊まられる。リリは随分早くに到着していたみたいだな?」

「火山の国の人達の様子はどんな感じなの?」

 エリオット様もガブリエラ様もいらっしゃった。


「火山の国の女王陛下は、今日は荒れてらっしゃる感じだったな。一度もテントを出て来なかったよ」

 ラント様までいらっしゃるし、私に知らせたのが一番最後だったのね?

「君にも直ぐ知らせようとしたんだよ。でも…」

 きっと私の事を探してくれてたんだね。


「うん。私、女王陛下の護衛様と顔見知りになったんだよ。とっても良い人なんだ。だけど悪いけど、これから彼を利用させてもらおうと思ってる。それに本当にムカつく奴らは女王陛下じゃないの。女王に侍ってる中年オヤジの奴らなの」


「なら、女王陛下を説得できそう?」

「今は多分、無理。でも護衛様の力を借りたらできると思うの」

「僕達は、まだ交渉の場に着かない方がいいかな?」

「それはどっちでも。でも、できればオジサン達の事を私達も敵だと思っている事を女王陛下に認識してもらいたい」

「だったら、やはり呪いや(まじな)いに困らされて火山の国への心象が我々には最悪になっている事にしよう」

「そうね。散々だったと女王陛下に苦情を言ってみましょう」


「本当に大丈夫なの?道中で影響は無かったの?」

 リリベルが心配して聞くと、神官様が「聖女様の防御壁を出た後も、何もありませんでしたよ。しかも砦の呪物も全部、あなたと聖騎士殿が取り除いて下さったと伺いました。私の出番は、ほとんどありませんでした。どうもありがとうございました」

 と仰った。良かったとリリベルは安心した。

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