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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 何を話そう?そうだ!とりあえず…

「カレー!そうカレー!火山の国の本場のカレーに興味がありまして!」

 護衛様の目が丸くなる。


「カレーか?君はカレーに興味があるのか?」

「はいっ!この国でもカレーを頂きましたが、この国のカレーは南の民の口に合うように改良されているそうで、そちらも美味しかったのですが、余計に本場のカレーはどうなのか?と気になりました」


「そうか。この国のカレーは確かに少し甘くてクリーミーなのだよ。我が国のカレーは種類も多いが、もっと香辛料が効いている。それから〜」

 護衛様はリリベルに熱く“カレー”について語って下さった。

 凄いな!自国のカレー愛。


 そうか。確か彼らは南の国に来てもパーティやお呼ばれ以外は自分達で衣食住を確保する人達だ。食にもこだわりがあるのだろう。

 そう思って聞いていると、話が途切れたので

「王都のはだ色横丁のシャクレ(どり)

 と呟くと、護衛様はビクッと反応して

「おぉっ!あの店を知っているのか!あの店のカレーはダシが素晴らしいのだ」


「スープカレー?」

「そうだ!見習い少年よっ!よく調べたな。その店が出したスープカレーが波及して、今、我が国ではスープカレーが熱いんだよ!」

 最新ガイドブック、凄過ぎる。

「それにはだ色横丁は地図に無い」

「その通りだ。地元の人間しか言わないからな。オレンジ通りとホワイト通りが交わるわずかな場所だ。見習い少年は素晴らしいな。そこまで我が国のカレーについて調べてくれたのだな?」

 東の国のガイドブックがな。


「今日は残念ながらビリヤニだ。だがスープカレーの日は君を我が国のテントに招待してやろう」

「本当ですか?!」

「ああ君1人くらい大丈夫だ。あんなに調べてくれていたしな。本来なら火山の国に招待してやりたいが、今は…難しいし、君の都合もあるだろう」

 護衛様は何だか悲しい顔をしている。


「ビリヤニは炊き込みご飯ですか?」

「見習い少年はよく調べたなぁ」

 彼に笑顔が戻ってちょっと安心した。

 何だか護衛様はとても良い人だった。


 それからリリベルは隙を見ては護衛様に接触した。

 護衛様はずっと女王陛下の側にいる訳ではない。むしろ偉そうな中年男性達の方が女王陛下に張り付いて色々、話し掛けている。

 彼は女王陛下のテント周辺をいつも警戒しているが、そもそもテントの場所が王城の庭なので、そこまで気を張らずに済むようだ。


 明日にはとうとうザック殿下が到着予定だ。

 私もまだ、何も策が無いのにな〜。

 でもザック殿下に会えるのは嬉しいけど…。


「見習い少年、君はいつもあの白馬の世話をしているな。あの馬場も厩舎も確か王族専用の場所だったろ?なのに今は2頭貸し切りだ。かなり特別扱い過ぎないか?」

 護衛様の方からリリベルに声を掛けて来た。

 丁度、サオリ達に水遊びをさせて風魔法で乾かしてやったところだった。2頭は護衛様をチラッと見て直ぐに馬場に走り去って行った。


「あの2頭は北のスネイプニルなのです。だから他の馬と一緒にはできないんです」

「なんとスネイプニルッ!北の神獣かっ?だから南の王族達も見るだけだと…そうか納得だ。よくこのような場所に、そんな貴重な馬達が…そうか、君も君の付いている騎士殿も金髪碧眼だ。だからか。なあ馬達を見に女王陛下もお連れしていいか?貴重な神獣なら、きっと陛下もご覧になりたいだろう」


 リリベルは一瞬にして冷や汗が流れそうになったが…その時は全部ラント様にお任せしよう!と決めて「ぜひ、お越しになって下さい」と言っておいた。

 それに彼は何だか勝手に色々、勘違いしてくれているのだが…それも、まあいいか。


 その日の午後、リリベルが女王のテント付近をまた観察していると「ガッチャーン」と何かが割れる音がして、女王陛下のものと思われる声が聞こえてきた。

 何か物凄く怒っているが火山の国の言葉で解らない。

 

 何て言ってるのー?!と思っていたら

「あートンビ女王荒れてるね?ビーバーちゃん、さっき連絡が入ったのだけど、ザック君が昨日泊まった宿泊所で(まじな)いが発動したから到着が遅れるって」

「えっ?殿下や皆に何か影響が?」

「ううん。何も。でもワザと呪いのせいで遅れるって伝えて、あっちの呪いを責めてるんだと思う」


 ああ成程。自分達の呪いのせいで遅れるから女王は気が立っているのか。でもそれって逆に大丈夫なの?

「大丈夫だよ。ビーバーちゃん」

 出た!王女殿下の人の心を読んでるの?発言。

 時々、的外れだけど。


「多分、呪いは女王主体じゃないんだよ。だから怒っているんだよ。余計な事をしたって」

「もしかして?」

「そう。呪いなんてあの中年オヤジ辺りがやりそうでしょ?」

 やっぱりアイツらか〜。


 護衛様も、いつも彼らを見ては溜息を吐いている。

 もしかしたらヤツらをどうにかしたら解決するとか?

「それは分かんないけど、ザック君は明日は来ないよ」

 絶対、読んでる!

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