324
何を話そう?そうだ!とりあえず…
「カレー!そうカレー!火山の国の本場のカレーに興味がありまして!」
護衛様の目が丸くなる。
「カレーか?君はカレーに興味があるのか?」
「はいっ!この国でもカレーを頂きましたが、この国のカレーは南の民の口に合うように改良されているそうで、そちらも美味しかったのですが、余計に本場のカレーはどうなのか?と気になりました」
「そうか。この国のカレーは確かに少し甘くてクリーミーなのだよ。我が国のカレーは種類も多いが、もっと香辛料が効いている。それから〜」
護衛様はリリベルに熱く“カレー”について語って下さった。
凄いな!自国のカレー愛。
そうか。確か彼らは南の国に来てもパーティやお呼ばれ以外は自分達で衣食住を確保する人達だ。食にもこだわりがあるのだろう。
そう思って聞いていると、話が途切れたので
「王都のはだ色横丁のシャクレ鶏」
と呟くと、護衛様はビクッと反応して
「おぉっ!あの店を知っているのか!あの店のカレーはダシが素晴らしいのだ」
「スープカレー?」
「そうだ!見習い少年よっ!よく調べたな。その店が出したスープカレーが波及して、今、我が国ではスープカレーが熱いんだよ!」
最新ガイドブック、凄過ぎる。
「それにはだ色横丁は地図に無い」
「その通りだ。地元の人間しか言わないからな。オレンジ通りとホワイト通りが交わるわずかな場所だ。見習い少年は素晴らしいな。そこまで我が国のカレーについて調べてくれたのだな?」
東の国のガイドブックがな。
「今日は残念ながらビリヤニだ。だがスープカレーの日は君を我が国のテントに招待してやろう」
「本当ですか?!」
「ああ君1人くらい大丈夫だ。あんなに調べてくれていたしな。本来なら火山の国に招待してやりたいが、今は…難しいし、君の都合もあるだろう」
護衛様は何だか悲しい顔をしている。
「ビリヤニは炊き込みご飯ですか?」
「見習い少年はよく調べたなぁ」
彼に笑顔が戻ってちょっと安心した。
何だか護衛様はとても良い人だった。
それからリリベルは隙を見ては護衛様に接触した。
護衛様はずっと女王陛下の側にいる訳ではない。むしろ偉そうな中年男性達の方が女王陛下に張り付いて色々、話し掛けている。
彼は女王陛下のテント周辺をいつも警戒しているが、そもそもテントの場所が王城の庭なので、そこまで気を張らずに済むようだ。
明日にはとうとうザック殿下が到着予定だ。
私もまだ、何も策が無いのにな〜。
でもザック殿下に会えるのは嬉しいけど…。
「見習い少年、君はいつもあの白馬の世話をしているな。あの馬場も厩舎も確か王族専用の場所だったろ?なのに今は2頭貸し切りだ。かなり特別扱い過ぎないか?」
護衛様の方からリリベルに声を掛けて来た。
丁度、サオリ達に水遊びをさせて風魔法で乾かしてやったところだった。2頭は護衛様をチラッと見て直ぐに馬場に走り去って行った。
「あの2頭は北のスネイプニルなのです。だから他の馬と一緒にはできないんです」
「なんとスネイプニルッ!北の神獣かっ?だから南の王族達も見るだけだと…そうか納得だ。よくこのような場所に、そんな貴重な馬達が…そうか、君も君の付いている騎士殿も金髪碧眼だ。だからか。なあ馬達を見に女王陛下もお連れしていいか?貴重な神獣なら、きっと陛下もご覧になりたいだろう」
リリベルは一瞬にして冷や汗が流れそうになったが…その時は全部ラント様にお任せしよう!と決めて「ぜひ、お越しになって下さい」と言っておいた。
それに彼は何だか勝手に色々、勘違いしてくれているのだが…それも、まあいいか。
その日の午後、リリベルが女王のテント付近をまた観察していると「ガッチャーン」と何かが割れる音がして、女王陛下のものと思われる声が聞こえてきた。
何か物凄く怒っているが火山の国の言葉で解らない。
何て言ってるのー?!と思っていたら
「あートンビ女王荒れてるね?ビーバーちゃん、さっき連絡が入ったのだけど、ザック君が昨日泊まった宿泊所で呪いが発動したから到着が遅れるって」
「えっ?殿下や皆に何か影響が?」
「ううん。何も。でもワザと呪いのせいで遅れるって伝えて、あっちの呪いを責めてるんだと思う」
ああ成程。自分達の呪いのせいで遅れるから女王は気が立っているのか。でもそれって逆に大丈夫なの?
「大丈夫だよ。ビーバーちゃん」
出た!王女殿下の人の心を読んでるの?発言。
時々、的外れだけど。
「多分、呪いは女王主体じゃないんだよ。だから怒っているんだよ。余計な事をしたって」
「もしかして?」
「そう。呪いなんてあの中年オヤジ辺りがやりそうでしょ?」
やっぱりアイツらか〜。
護衛様も、いつも彼らを見ては溜息を吐いている。
もしかしたらヤツらをどうにかしたら解決するとか?
「それは分かんないけど、ザック君は明日は来ないよ」
絶対、読んでる!




