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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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「ラント様?どちらまで行きますか?」

「特に考えてなかったが…」

「ふ〜ん。でもスネイプニルだから街中は避けたいですよね?公園とかでも人気の少ない所…あ!お墓」

「墓?」

「そう王家の大きなお墓!前方後円墳って知ってます?王家の巨大な墓があるって、そこはどうですか?」


 王家の墓?ドラゴンの影響受けまくりじゃないか?

 それは駄目だ!

「山だ!あの山に登ろう!」

「ラント様?あれがお墓ですよ。前方後円墳の多分、円の部分」

「!なっなら、あの山は?」

「あ〜ナルホド。隣の高い山から前方後円墳全体を見下ろそうという訳ですね?それは賛成です。そうしましょう!」

 隣の山で大丈夫だろうか…?


 リリベル達はサオリに鞍を載せ遠乗りの準備をする。

「夕方には帰れるか。昼食はどこか道中で取れるといいな」

「へ?ラント様、午前中のうちに帰れますよ」

「あの山だぞ?結構高いし遠いだろ」

「南の国まで6日で来たクセに何を仰っているんですか。サオリ達なら北の国境の山脈も半日で頂上ですよ?」


「待て!北との国境の山脈は5千メートルを越す山々だぞ!」

「そう。まあ夏場ならの話なので雪が降り出したら1日はかかるのかなぁ」

「……分かった。昼前には戻ろう。どうせスネイプニルを連れていたら、どこにも寄れない」


「サオリ、あの山のテッペンまで行こう?そうお散歩だよ」

 お散歩…の距離か?でもサオリもタナカも「良いわよ〜」くらいの感じでブルルンと鼻を鳴らしている。

 スネイプニル…いやリリベル嬢といると、自分の中の色んな常識が崩れていく。

 リリベル嬢の護衛をしていた前騎士団長から「そうか〜ラント!世界を広げて来い」って言われたが…そういう事か?


 前騎士団長のリッカルドには幼い時から剣術の指導を受けた。

 彼は私の父親代わりに近い存在だった。恐らく父上が聖騎士を目指す私の為に頼んで下さったんだろうと思う。

 その当時から豪快で愉快な方だったが、まさか騎士団長を引退後、リリベル嬢の護衛に収まるとは…。

 しかも「めっちゃ楽しいぞ!」って仰ってた…私はまだその境涯に辿り着けていないのだが。


 やはり今日もこのブローチは必須だったな。

「さすがこの程度の高さはあっという間だった。スゴいねサオリ」

多分、この山は2千メートルはあるはずだ。5千メートルを半日で駆け上がるのだから、確かにこれぐらいはスネイプニルにとってお散歩なんだろう。

「うわぁ。前方後円墳って最初聞いた時は意味が分かんなかったけど、あれかぁ!」


 確かにこの山の山頂から見る王家の墓とやらは、なかなか見応えがあった。

「面白い形だな。しかも大きい」

「王女殿下の話だと初代の龍神様が龍のお姿でお亡くなりになったから、あの形と大きさだって仰ってらしたけど」

「成程、龍体なら大きいと言われて納得だ」


「それでラント様、持って来た物をどうすればいいのですか?」

「ああそうだな。だが、ただ持って来いとしか…」

「とりあえず出してみるか。サオリ、自由にしていいけど30分くらいでお城に戻るからね」

 リリベル嬢がそう言うと馬達はご機嫌で木の生い茂る方に消えて行った。


 馬達は間違いなく、私ではなくリリベル嬢をリーダーだと認識している。年上としては少し複雑だが、サオリが言う事を聞く人間なら、恐らく他の馬達もその人に従わないといけないと思うのだろう。とにかくサオリに認められる人間は少ない。

 きっと北の王家の血筋の濃さのような気がしている。

 もともと北の女神の馬なのだから当然だろう。


 リリベル嬢が山頂の平らで大きな岩の上にハンカチを敷いてペンと青薔薇の栞と髪留めを並べる。何かが起こるのだろうか?

 だがしばらく待ったが何も起こらない。

「なあリリベル嬢、ドラゴンの影響のない場所を指定されたのだが…ここは駄目だったのだろうか?」


「お墓の全貌が見える場所だから?それだけの理由で?」

「とにかく王城は王族達が居るから駄目みたいだ。彼らから遠く離れた場所か、墓からも離れた場所が良いのかもな」

「ん〜。そうなんですね。でも王都をあまり離れる訳には」

「そうだよな。明日には火山の国の女王もお見えになるのだろう。また場所は考えよう。それにきっとまた女神様から指示があるかもしれない」


 その日はそのまま帰り、リリベルは午後に第二王子妃様を見舞った。

「まあ、朝からあの山の山頂まで登ってきたの?しかも昼には戻って来たなんて!」

「ビーバーちゃん、あの御霊山は普通1日がかりで登るのよ」

「御霊山?」

「そうよ知らないで登ったの?だって王家の墓が見下ろせるでしょ。王家のお墓の参拝が目的で登る人が多いのよ。廟とか建物は一切無いのだけど、あの山自体が霊山として奉られているの」


「誰も人が居なかったのですけど?」

「春から夏場は深夜に登ってご来光を仰ぐか、早朝に登って昼過ぎに山頂に着くパターンが多いの」

 という事は午前中の昼前に人が居ないのは納得だ。


「馬で登ってはイケなかったでしょうか?」

「登山道だし急斜面や階段が多いから馬は無理じゃない?」

「‥‥‥」とりあえずドラゴン様の影響ありありの場所だったという事は判った。

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