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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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「え〜っ!年末から防御壁に当たってた、あの沢山の「コツン」は火山の国からの(まじな)いだったの!?」

「多分、ザック殿下を狙った誘惑とか魅了系なのかと…」

「もしくはリリを攻撃するものだった可能性もあるよ」


 リリベルは学院でザック殿下に呪いの件を相談して、ガブリエラ様、エリオット様らと一緒にマリィ姉ちゃんに面会しに来た。

 王家からも呪いの相談を大神殿にしたそうで、大神官様もお一人来て下さった。


「それでしたら第三王子殿下が今回、南へ訪問される折に神官を伴えるよう手配致しましょう。呪いを探したり解除を得意とする者がおりますから。その者は飲食物に盛られた薬物も鑑定する事が可能です」

「それは有難い、大神官。ぜひ頼む」


「火山の国が呪いが盛んだったなんて知っていたら最初から神殿にお願いしておいたのにね」

「南にご滞在の間は、よくご無事でらっしゃいましたな?」

「それは皆が色々、対策をしてくれていたからな」

「それだけではないようですが…」

「確かに。第三王子殿下、胸ポケットに何をお入れですか?」

 高位の神官や聖女には分かるのか二人は殿下の胸辺りに注目している。


「あ、これ?」

 ザック殿下が胸ポケットから出した物は、東の神様が作ったガラスペンだった。

「わー緑と黄色…」

 マリィ姉ちゃん!注目するとこそこじゃないから!

 大人達は静かにスルーしてくれている。


「成程、それが魔除けの役割を果たしているようですな。かなり強力な魔道具のようですな?」

「魔道具?」

 大神官様は殿下からガラスペンを受け取って観察している。

「さようです。ガラスのように見えますが、魔石を叩いて作ってある。落としてもホラッ」

「わーっ!!」


 ザック殿下が慌てて叫んで手を伸ばしたが間に合わず、ペンは落下したが「コンッ」と音がして床を転がっただけだった。

「悪趣味だぞ!大神官!」

「ハハハッそれは申し訳ない。だが形状記憶魔法もかかっているから、壊れても元に戻りますよ」


 最初から大神官様にこのペンを見てもらえば良かった…とリリベルは思った。そして伯父が神様に常に持てと言われた伝言はこの為だったんだとも思った。

「それにこの大きさの魔石のペンなら、恐らく殿下の孫、いや4代くらい持っても魔除け効果は持続しそうですな〜」


 魔力石は魔力を充電しながら使うので大きい物ほど魔力が長持ちする。魔石は魔力充電せずに使う事ができるし、同じ大きさなら魔石はフル充電の魔力石の100倍長持ちすると言われている。

 だから魔石は貴重なのだが魔力のある人には魔石の魔道具は要らない。それに魔力を持つ人は皆、魔力石の魔道具を魔力を込めている意識なく無意識に使っている。


 魔力石の魔道具で一番代表的なのは照明だ。次に冷蔵庫、洗濯機、掃除機も皆、魔力石で使う。調理場のコンロもそうだ。日用品に多いので高位貴族ほど魔力を使わないのはこれのせいでもある。


 「魔石は魔力石と違い、魔力を込めなくても使えるのでアクセサリーなど、普段、身に着ける物に加工すると、常時その効果を発揮します。つまり魔除けや保護魔法にはもってこいなのですよ。例えば火属性の魔石を2つくらい持つとノースポールでも寒さに耐えられる程だと聞いております」


 そう言えば子爵領でソリ遊びの時に、王妃様がお腹にも背中にも入れてると言っていたカイロは魔石だったのではないだろうか?

 だったら王妃様がケロッとされていた理由が分かる。


「これ程の魔道具をよくお持ちでしたな、殿下。このペンの作成には魔石選びから叩いてペンにして熟年魔道具師でも半年はかかるでしょうな。それに付与魔法がまた凄い。この魔法を付与できる人を探して…制作に最低でも1年以上はかかるのでは?さすが王家だ」


 ザック殿下がリリベルを見る。

 恐らく作った人を言ってもいいのか?という事だろう。別に秘密ではないし隠すのも逆にやましい気持ちになる。

「大神官様、このペンは東の神様からの贈り物です。今はありませんが私も同じペンを持っています」

 大神官様の顔が驚愕に変わる。


「もしや…このペンは神様がお作りに…成程、それは納得です。東の神は知恵と技術の神でしたな。でしたらこのペンの作成くらい朝飯前でしょう」

「ねぇもしかしてリリのペンは…赤いの?赤で青なの?!」

 わっマリィ姉ちゃんが、また色に食い付いたっ!


 リリベルが無言で目を逸らすと

「ナルに続いてリリまでぇ…」あ〜マリィ姉ちゃんが拗ねた。

「マリィ!寂しいなら、ちゃんとお兄様に言わないとダメじゃないか」

 エリオット様が速攻でマリィ姉ちゃんを慰めている。良かったエリオット様を連れて来て。


「まあまあ聖女様、後でラント様に慰めてもらいましょうよ。今、王都にお戻りですし」

 侍女のデイジーさんが、そう仰ってコロコロと笑う。

「えっラント様にだなんて!何で?えっ!」

 エリオット様の膝の上で急に挙動不審になる姉ちゃん。


 マリィ姉ちゃんだって、ちゃんと恋してるのになんて鈍い。

 でもその方がいいか。マリィ姉ちゃんの任期はまだあと5年もある。気付くならまだ先でいい。

 でないと多分、任期がもっと長く感じてしまうだろう。

〈オマケ〉

「大神官、このペンに属性はあるのか?」

「…パイナップルですな」

『パイナップルッ!!』全員でハモった。

「じゃあ私のペンは…イチゴ?」

「恐らく…アップルかと」

「フルーツ属性は初めて聞くな」

「そもそもそんな属性なんてあるの?」

「ペンパイナップルアップルペン‥‥‥」

「早口言葉か?新しいな」

いや…多分、古い。

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