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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 リリベルは王子宮に向かう。

「なぁお嬢、妃殿下は行っても会えないだろうと言っておられただろ?」

「誰が正攻法で会うと言いましたか?」

「そうこなくっちゃだな!で、侍従でも買収してんのか?護衛の方?」

「どっちも買収もしてません。でも殿下のお部屋の場所は知ってます。幸い2階ですし」

「あ?」


 リリベルは王子宮で馬車を降りると中に入らず中庭の方に回る。

 方角的にはこの辺り…壁はレンガか。

 だったらイケるかな?リリベルはレンガの壁に手を当てて魔法を込める。

 ザック殿下はどの部屋にご在室かしら?


「それは何をやっているんだ?」

「殿下の在室と居場所を確認しています。無駄な事はしない主義なので」

「はあ?!」

とその時、城の警備にあたる騎士が「そこで何をしている!」と数名やって来た。


「リコピン!出番ですよ」

「ちょっと待て!俺は不審者はやった事はないぞ!」

「もう!誰が不審者ですか。あ、騎士様、お城の警備ご苦労様です」

 リリベルは明るく挨拶をする。

「あなた方は?ハッ騎士団長閣下!」

 警備の騎士達はリコピンにビシッと礼をする。


「ああ、もう俺は団長じゃないから礼はいいわ。でも済まないな。こんな所で不審な動きをしていて」

「一体何かおありでしたか?」

「いやまあ…」リコピンが私を見る。

「ああ心配無いですよ。ただ第三王子殿下にお会いするだけですから」

「いや!お前、それ十分不審者だって!」

「う〜ん。絶対、第三王子殿下に危害は加えないと誓いますから」

「そうだろうけど、絶対、無理だろう!」


「リコピン!何で急に警備側の味方になっているんですか!私の護衛でしょ!」

「…なあ、俺の主人がこんな事言っているんだが見逃してくれないか?」

 騎士様方は驚きで唖然としておられる。そりゃそうだ。

 でもその時「私が許すよ」と王太子殿下がいらっしゃった。


「マレシアナから君が来て、王子宮に向かったと聞いたんだ。ザックは帰国してから鍛錬以外はずっと部屋にこもっている。私にも会ってくれないんだ」

 と言いながら目を真っ赤にしておられる。

 王太子、もの凄いヤツれぶりだ!それにしても、どんだけ兄弟が好きなんだ!まあ自分も家族は一番大事だけど。


「んじゃあ、許可も得られましたんで」

 とリリベルは壁をよじ登り始める。

「ちょっと待って!お嬢!スカートだ!」

「中、見んなよ〜!」

「そうじゃないだろ!」王太子が叫ぶ。

 だけどリリベルは器用にレンガに手足を掛けて登って行く。


「上手いもんだな〜」リコピンと警備の騎士達で見上げていると

「どうかしてるぞ…」と王太子殿下が呟く。

 殿下はテラス側の部屋には居ない。でもこっちの窓側の部屋に居る。

 リリベルは窓の近くまで登ると窓を外から叩く。


「殿下、殿下、ザック殿下!」

 下の者達は唖然と見上げる。

 その時、ザック殿下が「何してんだリリベル嬢!どこから来てんだよ!」と慌てて駆け付けたのだろう声が下にも聞こえてきた。

「だってザック殿下が会ってくれないから」

「会う理由がない。もう側近も解いただろ。あんなに辞めたがってたじゃないか」

「そうじゃないの。ちゃんと話をしたいの」

「この状況でか?」

 リリベルは微妙なレンガの出っ張りに足を掛け、窓枠にしがみ付いている状態だ。


「直ぐ済むから!ザック殿下の気持ちを確認したいの」

 殿下は溜息を吐いて「大体、もう待たなくていいと言っただろう?それに俺は火山の国に行く事に…」

「だからもう待ってないじゃん!私から来た」

「そういう“待ってろ”じゃないだろ!」

「そうなの?でも私の気持ちも言っておく。ザック殿下がこれまで私の為に頑張ってくれていたんでしょ?だからこれからは私が頑張る番だって!」

「えぇっ!?」


 リリベルはニッコリ笑って言う。

「私、ザック殿下が好きだから」

「はぁっ!?」

「じゃあね」


 リリベルは下を見ると

「リコピーン!降りるっ。ちゃんと受け止めてね〜私、重いから!騎士の皆さんもヨロシク〜」と言って飛び降りた。


「わーっ!!リリベル嬢!」

 アイザックが慌てて窓から下を見るとリリベル嬢は無事に下の騎士達に支えられて降りていた。兄上まで加わっている…。確かに咄嗟に動く程、全員、びっくりしただろうな。

 相変わらず、とんでもない令嬢だ…。


 俺は窓の下にズルズルと座り込みながら呟いた。

「チクショー…頑張らなくても好きだよバカ」

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