241
「皆、マレシオンの事は済まない。皆を妙な事に巻き込んだと思っている。だがマレシオンは生徒会とはもう関係ないし、今後の生徒会の活動には支障を出さないように私が気を付けるから、これまで通りにしてくれ」
ザック殿下はそう仰って、皆は頷いているけど、どう考えても自分が原因だ。皆が良くても自分的にはちっとも良くない。
自分の中では、もうマレシオン様との間には決着をつけている。彼とどうこうなる気はないし、なりたくもない。だから早く彼に気持ち伝えるべきなのだと思うのだが。
「リリベルさん、どうかマレシオン様の事は私にお任せいただけませんか?私がどうにかして見せますわ。お願いします!」
「リリアン様…」
「マレシオン様をこれ以上、傷付けたくないんです」
リリアン様の話によるとマレシオン様は、今はリリベルに対して可愛さ余って憎さ100倍になっているらしい。その上、リリベルに会って振られでもしたら…。
結局、ザック殿下の判断でマレシオン様の件はリリベルは関与せず、リリアン様にお任せする事になった。
リリベルとしては生徒会の仕事に影響が出なければそれで良いのだけど。
そしてザック殿下の他の側近達を巻き込まないで欲しい。
リリベルは気分転換にBENTOO屋に行く事にした。南でのお土産も渡したかったからだ。
リリベルは道中考える。マレシオン様の事だけではない。
自分は何か目を逸らしてはいけない何かがあるような気がしてならない。
何だろう?一体何だ?
「リリベル嬢!」
ザック殿下がリリベルを追いかけて来た。
「ザック殿下?殿下もBENTOO屋に行かれますか?」
「いや違う。言いたい事があって。皆には言ってない事なのだが…」
「はい?」
「その…テストのカラスの話なんだが…俺は思ったんだ。白いカラスは職務怠慢で愚かなカラスなんかじゃないんだよ。白いカラスは神様を独占したかったんだ。だから黒いカラスを最初から改心させる気はなかったんだ」
「でも、そのせいで死んじゃいましたよ?」
「死んだら天国に戻れるだろ?黒いカラスを悪者にしてさ。だから俺は1番の悪者は白いカラスだと書いた」
「何で、それを私に?」
「恋は人の判断を容易に誤らせるんだ。しかも良い方にも悪い方にも影響を与える。そして時には相手を自分の物にしたくて必死になるんだ。リリベル嬢、どうかマレシオンを人として嫌いにならないでやってくれ。君はその辺は老成してるだろ?」
「そこで老成は関係ありますか!」
「でも君は恋をした事がないだろ?恋で判断が鈍る経験もない。違うか?」
ザック殿下は経験あるんですか?と聞きそうになって、即座に止める。
彼はマリィ姉ちゃんが好きだったんだっけ?と。
「何か…馬鹿にされている気分です」
「まだ、今はそれでいい。そのままでいてくれ」
「は?」「そのままでいいから」
そう言ってザック殿下は踵を返して戻って行かれた。
そしてリリベルはBENTOO屋の店主に愚痴った。




