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ザック殿下とリリベル達、南に残った全員は3日後に帰国する事になった。
西の騎士団のほとんどをマレシオン様達の護衛に付けて戻したので、南と西の国境までは第二王子殿下と南の武士の皆様が送って下さる事になった。
そして西の国境の砦に新たにザック殿下を護衛する西の騎士団が派遣されてくるとの事だった。
その調整にガブリエラ様も、エリオット様もお忙しくされていた。
またライオット兄も残った騎士達と共に、ザック殿下の身辺警護にずっと付きっきりだったので、リリベルはなるべく王女殿下から離れず過ごしていた。
王女殿下にはザウルス様も付いておられるし、警備が一番しっかりした場所だったからだ。
出歩くのも王太子ご夫妻の所くらいで、出控えるようにしていた。今、リリベル一人の為に警護などの人員を割くことはできないからだ。
リリベルは事件以降、感謝されることばかりで、誰もあのおかしな形の王城に触れない事が不気味だった。
あの形状にしてしまった事に、なぜ誰も何も言わないのだろうか…?どうせ直ぐに建て替えるからいいやという事なのだろうか?
だったら良いけど。
王女殿下は昨日から始まった犯人達の裁判に立ち会っていて留守にされている。
そんな時、リリベルは部屋で一人なので暇なのだが、ララ姉ちゃんがご長男とダンナ様と一緒に顔を見せに来てくれた。
「リリベル叔母様!」
ご長男がリリベルに駆け寄って来る。
最後に会ってから1年ぶりだ。大きくなっているし滑舌も良くなっている…と言うことは…
「ああ、また美しくなられて!あなたは僕の成長を待っていてくれないのだな?」
5歳のお子様に言われてもだな。
「でも、まだ君に抱っこできるサイズでいる事にするよ」
おい!勝手に人の膝の上に座るな!
「義兄さん、パワーアップしているね?」
「誰が…教えたんだろうな…?」
天然かよ!ご長男はツヤツヤのキャメルブラウンの髪を靡かせアメジストの瞳をキラキラさせている。
将来、有望というより恐ろしい。
「ちゃんと教育して下さいね」と言おうとしたら、姉が
「ウプッ。リリ、このお茶の匂いダメかも」と言った。
今日の、このお茶は菊の花で作った菊茶だと侍女さんが言っていた。
確かに少しクセがあるかもしれないが。
そう言えば、この前の盆ダンスの時の立ち眩み…。
「姉ちゃん。仮病じゃなかったんだね」
「失礼ね。確かにうまい具合にあの二人も引っかかったけど、本当に立ち眩みだったのよ」
「そっか。おめでとう」
「ありがとう、リリ。まだ誰にも言えない雰囲気だけどね」
ご長男はマセているが中身はちゃんと5歳児だった。
「ゆっくり話すといいよ。またしばらく会えないだろう?」
途中で退屈した息子を連れて義兄は庭園に遊びに行った。
「ララ姉ちゃん、学院生の時、姉ちゃんは王太子殿下の事、好きだったの?」
「いいえ」即答だな。
「王太子妃様が仰ってたんだけど、マレシアナ様が婚約者じゃなければ奪えたんじゃないかって」
「やめてよ!恐ろしいわ」姉妹で同じ事言ってるな。
「私は確かに殿下や高位貴族の令息達の側にいたわね。恋愛もしたかったし、条件の良い令息を見極めていたと言えば嘘ではないわ。でもそれは私だけでは無かったのよ」
「と言うと?」
「私に、公爵令嬢達以外の敵がいなかった事に疑問は持たなかったの?」
「そうなの?」
「そうよ。姉ちゃんには令嬢の敵はいなかったわ。なぜなら姉ちゃんが殿下や高位貴族の令息の情報を皆に提供していたからね」
「ええっ?!それが目的で王太子の側にいたの?」
「まあね。ルト兄もいたから。でも今、思えば不毛な行為だったわ。一番ヤバい人に目をつけられるし…」
「でもお義兄様に出会えたでしょ?」
「そうね。それは感謝ね。外交官の仕事も楽しいし、自分に向いていると思ったわ。息子もあんなだけど愛しいわ。それにまた一人増える」
「それも下着のお陰なの?」
「アハハハ。もう効いてないわ。残念だけど意外性は最初だけなの。だから体型維持の機能の方が重要なのよ。美しくしさと体型を維持できていればダンナが浮気に走ることはないわよ」
私も…きっとマリィ姉ちゃんや他の兄弟達もララ姉ちゃんの事、誤解していた。
やっぱり真相は本人に聞かないと分からないものなのだ。




