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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 翌朝、リリベルは起きて直ぐにサオリの様子を見に行くと、サオリはすでに朝日を浴びて馬場を散歩していた。

 

 「サオリおはよう。早起きだね。後で野菜か果物持って来るね」

 リリベルはサオリに挨拶して伯爵家の食堂に向かう。

 食堂には夫人と令息はいらしたが、伯父達と父はまだ来ていなかった。きっと夜中まで兄弟で積もる話でもしたんだろう。

 男ばかり5人か。


 リリベルも5人兄妹だが兄2人に姉2人だ。父も末っ子だが全然、リリベルとは違いそうだ。

 父は1番目の伯父の束縛から逃れる為に、母と結婚して子爵領に逃げたのだと言っていた。もちろん母の事もちゃんと好きだったのは知っているけど。


 オリベル王女にそっくりで、北の王子にも似た父が子爵家に逃げて来るなんて、まるで北から逃げて来た王子と一緒じゃないか。

 まあ相手は女神じゃなくて兄なんだけどさ。

 「でも変なの」リリベルはサオリ用に野菜や果物をもらって厩舎に行く。


 サオリの部屋を掃除して飼葉を替え、サオリの体にブラッシングをかけていると、令息が侍女と一緒に馬を見に来た。

 ちゃんと距離を取ってくれている。彼も本当は白馬に触れたいのだろう。サオリは誰が見ても美しく体格も良く立派な馬だ。


 だが白馬達は女性でも子供でも容赦しない。それは子爵領で散々見てきた。どんなに彼らに挑んでも受け入れられる人は少ない。

 ただ北でよく訓練された白馬は女性聖騎士には懐いていた。恐らく馬の方も子馬の頃から相当訓練を受けるのかもしれないな。

 それにサオリは鞍を載せるのを嫌がらないが、リリベルの友達のタロウとジロウは嫌がるだろう。


 リリベルが野菜をあげていると、令息と入れ替わりで伯父達が馬場にやって来た。5人共来たのか。

 こうして見ると5人は少しずつしか共通点がない。髪も瞳の色も顔も全員が共有している部分がない。

 リリベルの兄妹は全員が金髪だが、それは両親共に金髪だからなんだろう。


 「リリ、おはよう。済まないなサオリの世話をさせて」

 「いいよ。お父様達は昨晩は遅くまで起きてたんでしょう?今日は学院も休みだし」

 「おや!リリベルちゃんなのかい?ガブリエラに聞いてはいたけど、本当に少年のようだな」

 「ベルに似てるだろう?聖女様より似てると思ったんだ」

 「確かに男装しているとマリィより似てるな」


 「なあ、俺もそっちに行ってもいい?」

 「お前、本当に挑戦するのか?」

 「兄さん危ないよ止めときなよ」「無理するなよ」


 「ねえ!伯父様は回復魔法か治癒魔法は使えるの?」

 「いや、そんなの神官じゃないし使えないだろう?」

 「だったら止めた方がいい!」

 「リリベルちゃん!これは男のロマンだ!」


 結果的に3番目の伯父のロマンはあっさり砕け散った。伯父はサオリに見向きもされなかった。それにスキを見せると攻撃されていた。サオリは戦い方も心得ていて無駄がない。

 伯父はサオリに相手にされず、嫌がられ、反撃を受け、心身共に大打撃を与えられていた。


 サオリに翻弄され、あちこち怪我して男泣きする伯父に、父は

「ちょっとサオリは相手が悪かったな。兄さん、機会があれば子爵領の白馬で再チャレンジしなよ」

 と言って治癒魔法をかけ、1番目以外の兄達に驚かれていた。


 「聖女の父親になると、そんな事もできるのか?!」

 んな訳ないだろ。だが父は面倒臭そうな顔をして「まあな」って言ってるし!!


 「あ〜こりゃミカエルも白馬に乗るのは無理かなぁ」

 「ミカエル君は聖騎士なんだっけ?大神殿で何人か見たなぁ。皆、白い制服がカッコ良かったよ!」

 「彼は今、うちの領地に派遣されてるんだ。うちの次男とどっちが先に白馬に乗れるか張り合っている」

 「ベルの見立てでは、どっちが先に乗れそうか?」

 「聖騎士殿かな。だが彼が乗れそうなのはタロウとジロウの嫁さんクラスだ」

 「最近、北から来た牝馬達か」

 「そうだ。元々、騎士の騎馬として訓練されていた馬だしな。だが今は子馬を出産したばかりだから、子離れが始まる頃には乗れるんじゃないか?」


 「ナルは…?」

 「あの子は…精神的な問題だな。それも自分で気付けなければ今後も成長できないだろうな」

 「私はナルをお前達から早く離しすぎかもしれんな」

 「兄上のせいじゃありませんよ。親元なら、もっとワガママだったかもしれない」


 「ベルがちゃんとお父さんしてる〜」

 「伯父様、子供ができたら自動で親になるんですよ。それに父は父だけど子爵家の一番デカい兄って感じです」

 「ああ!な〜る!」


 ベルモントは子供の頃から大人顔負けの早熟さだったが、子爵家ではちゃんと子供に戻れたんだな。

 「リリ、後で裏に来い!」

 「お父様!大変!紳士の皮が剥がれかかってるわ。とってもデカいやつ」

 「クッ」「ベル、娘には口では敵わんぞ」

 2番目の伯父の言葉に4番目の伯父も頷いていた。

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