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 伯爵邸に着くと、屋敷の執事に直ぐに厩舎に案内してもらうように頼む。

 「子爵令嬢?もしやリリベル嬢ですか!?侯爵様方の所ではなく厩舎ですか?」

 「はい父が白馬でこちらにお伺いしたと思うのですが」

 「ああ。立派な白馬でしたな。子爵自ら馬を厩舎に入れておいででしたが…直ぐに案内させます」


 リリベルは伯爵邸の使用人に案内されて厩舎に向かうと、馬場にサオリがいた!ちゃんと侯爵家の時のように他の馬と分けられて厩舎の扉も開けられている。

 「坊っちゃま、ご安心下さい。誰も馬に近付かないよう、子爵様から言付かっております」

 と伯爵家の厩番が教えてくれた。


 坊っちゃまではないが「良かった」とリリベルが一安心したところで、声が聞こえて来た。

 「母上、とても立派なお馬さんが来たのが窓から見えたんです。本当に真っ白なお馬さんなんですよ」

 伯父の息子だ!伯爵夫人の手を引いて二人でやって来る。彼は夏に会った時より大きくなって少しお喋りになっているようだ。


 「お二人にはお伝えしてなかったのですか?」

 「さあ?私には…」厩番は狼狽える。リリベルは素早く二人の前に出て挨拶する。

 「伯爵夫人、令息様、夏よりご無沙汰しておりました。子爵家のリリベルです」

 「えっ?あなたが?」「違うよっリリベル嬢は女の子の妖精だ!」

 「…今は理由があって男装しておりますが、リリベルです」

 「まあ!確かに言わてみれれば…」「ええぇっ!?」


 「スミマセン混乱させてしまいまして、ですが急ぎお二人にお伝えしないと。あの白馬には近付かないで下さい。あれは見た目と違ってとても凶暴な馬なんです。近付いたらどんな攻撃を受けるか!」

 「あんなに美しいのに?」

 「はい。ここからなら大丈夫です。でもこれ以上は近付かないで下さい」

 「あの馬には乗れないの?」

 「はい。あの馬は自分で決めた人しか乗せません。触らせもしませんし世話もさせません。北の隣国の特別な馬なんです」


 そこに3番目の伯父と父が慌てて走って来た。

 「お前達が白馬を見に行ったと聞いて急いで来た。間に合ったか!」

 「父上っ」伯爵様は相当慌てたのか息が荒い。

 「リリベル!来ていたのか?」

 「お父様、他家にサオリを連れて来るなんて!!」

 リリベルは憤って父を睨む。

 

 「少年?じゃなくてリリベル嬢なのか?」伯父の目が点になっている。

 「リリ、その…サオリがな退屈してて…それに体力を持て余しててな」

 「お父様、もうちょっとで伯爵夫人達が大怪我してたかもしれないのよ!」

 

 「リリベル嬢!俺がっ俺が見たいって言ったんだ!スネイプニルを。傭兵時代に北に行った時、北の王国騎士団にスネイプニルの騎馬隊があるって聞いて、俺もなりたい!って思ったんだけど外国人は駄目だって。北の国の血を引いてないとスネイプニルは受け入れないって」

 「引いてますよ」 「へ?」

 「北の国の血、伯父様も引いてます。だってお祖母様はオリベル王女でしょ」

 「あ〜っ!!」


 だからって騎馬隊に入れたかも、スネイプニルに受け入れられたのかも分からないけどね。伯父の瞳は水色だが髪の色がオリーブグリーンだ。

 「なあ!俺も今、チャレンジしてみてもいいかな?」

 ったく!侯爵家の兄弟共はガキか!!

 「今は4番目の伯父様が来ている貴重な時間でしょう?今やる事ではなーい!」

 「…はい」3番目の伯父は父に連れられスゴスゴと戻って行った。


 「あの人、相変わらずなのね」

 「父上も白いお馬さんに乗りたいんだね」

 とりあえず今日は伯爵家の使用人の皆さんが交代でサオリを見張ってくれる事になり、リリベルは伯爵夫人達と夕食をいただいて今日は伯爵家に泊まることになった。


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