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 リリベルは心を読まれついでに、もう一つ気になる事を聞いてみる。

 呪いの種類は音楽にまつわるものだけなのか?

 候補の段階なら呪いは関係ないのか?すると陛下は

 「女神の夫は20年と拘束期間が長いだろ?大体、婿は14歳〜18歳の少年が選ばれる。20年経った後もやり直せるようにだ。だが私の父もだが、これまで夫に選ばれた者は、ほとんどが生涯を女神と過ごした。父も母を愛していたよ」


 「我が国では女神の夫に選ばれる事はとても名誉な事だ。候補は常に10人前後選ばれるが、候補に選ばれると王族並みの教育を受ける。女神への信仰心もだ。その過程で全ての候補者が、夫を希望するわけではない。やはり、なりたくないと思う者も出る訳だ」


 「それは仕方のない事だが女神を妄信する一部の者には許せない事なのだ。選ばれるかどうかも分からないのに逃げる者、それを許さないのは女神ではなく、他の候補者や信者だ。つまり呪いは女神ではなく候補者や信者達の怨念に近いな。特に夫に選ばれた後に逃げる者は罪深いとされる」


 「女神が許しても他が許さない。だから主に王子の逃げ場となっている子爵家に呪いの矛先が行った。我が母は音楽が大好きだ。自身は武器しか持たないが相手には楽器を望む。しかし打楽器が好きではない。あれは母に言わせると音楽ではなく騒音なんだそうだ。我々にとって楽器も歌も嗜めない事は、二度と女神のお眼鏡に叶わない罰なのだよ。どうだ?呪いの解明になったかな?」


 「はい。陛下ありがとうございます。しかし、陛下は私が北の国に来れば子爵家の呪いを解いてやると仰いましたが、そんな呪いを解く事ができるのですか?」

 「女神の力ならば。しかし、そなたは打楽器で満足するのであろう?」

 「そうですね。それに呪いを解いてもらっても、また北の王子を受け入れたら呪いは戻るのでしょう?うちは爺様が言っていた通り、移住を希望する北の者は全て受け入れますから」


 「…確かにそうかもな。呪いを解いても一時期だけかもしれないか。だが一時期だけでも気持ち良く歌いたくはないか?音程を外さずに」

 「あまり考えた事なかったです。それに北の国に行く気はありませんから」

 「そうか、やはりツレないな〜」


 北の女神の力では呪いは解けるのに、東の神には呪いは解く事はできないと仰ってた。何でだろう?とリリベルが考えていると

 「そなた、東の神と会ったのか?」とまた陛下に心を読まれた。

 「はい。機会があって面会叶いました」と伝えると

 「東の神は喜んだであろう!そなたは西の女神にソックリであるからな〜ガハハハハハ」と笑い出した。


 その時、全員がリリベル嬢に注目した。

 そして俺はリリベル嬢を咄嗟に取り押さえる。多分、俺が押さえなかったらリリベル嬢は陛下の腹にグーパンしていたはず。


 良かった。以前、一度、この時を想像してリリベル嬢を取り押さえるイメージをしておいて。

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