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 「北の国王陛下は子爵令嬢が、いたくお気に召したようですな?金髪で緑色の瞳の方はそちらの国には多くいらっしゃるでしょうに」と我が国の重鎮の一人が陛下に言った。


 すると陛下は「リリベル嬢もその兄も、めんこいでな」とご機嫌に返した。

 今日もルト兄が北の陛下の給仕をしている。兄さん五九六三。

 席順も何故か前回と同じだ。でも反対側の王妃様は今日は穏やかにニコニコと微笑んでらっしゃる。良かった。兄をたっぷり充電できたんだな。陛下の胸元にメモを入れておいて良かった。


 「そなた、我らの滞在の間、サオリらの相手をしてくれたのだったな」

 「はい。サオリに乗る許可を与えて下さってありがとうございました。私も久しぶりに乗馬を楽しみましたから」

 北の騎士達は陛下や大臣の警護で忙しい。

 でも白馬達は恐らく普通の馬と違うから旅の疲れが癒えたら逆にパワーが有り余る。それに白馬達は気性が荒いから、それを知らない西の人々は美しい白馬に安易に近付こうとするだろうと、外出時の騎馬は西の馬でお願いしていた。

 だから王城の馬場で残された白馬達は元気を持て余していた。それでリリベルがその相手を買って出たのだ。


 リリベルは大神殿に頼んで子爵領の野生馬に少しでも触れる事ができる聖騎士様の派遣を頼んだ。

 そして神殿からは、ベルトラント様とザッハトルテ様、春から王立騎士団に移籍されたミネルバ様が北の白馬がいる厩舎に来て下さった。


 トルテ様とミネルバ様は子爵領では触れることしか出来なかったが、北の騎士達に調教された馬達はお二人を拒むこともなく、むしろ女性の騎士に甘えていた。

 北の騎士団には女性はいないそうだ。

 

 何故なら北の女神様が北では最強の戦士で、その娘だけが許された唯一の騎士となれるのだそうだ。だが騎士となった娘は女神様の神殿にいるので、北の王城にはやはり女性騎士はいないのだそうだ。

 しかし、せっかく来て下さったベルトラント様はどちらかと言うと、ベルトラント様の訪問を知って駆け付けた王太子の相手の方が忙しそうだった。

 そしてサオリはリリベルしか乗せなかった。やはりサオリはスネイプニルの血が濃い馬なんだろう。子爵領のタロウやジロウよりも荒々しくパワフルな馬だった。


 「羨ましいな」ザック殿下がポツリと仰った。

 ザック殿下は今回は馬達を興奮させないようオヤツの野菜の配達という裏方をやって下さった。ザック殿下には申し訳ないが、また馬絡みのトラブルを起こす事は出来ない。

 特に北の騎士達が側にいない時はリスキーだ。いつか機会があれば子爵領でトライして欲しい。

 その時は、死なない限りどれだけ暴れていただいても結構だ。


 宴会も進んで、今回は何事もなく無事に終わりそうだという時に北の国王陛下は仰った。

 「なあリリベル嬢、そなた北に来ないか?」「行きません」

 「リリベル嬢!」はっヤバい!ザック殿下の声に我に返る。

 つい、いつもの王城への誘いみたいに断ってしまった。だってノリが…。


 「国王陛下、お誘い大変感謝致します。北への旅行のお誘いなら喜んで。直ぐには難しいところですが」

 「そうか、旅行ではなく北に移り住まないか?という意味だ。そなたなら王城で迎えてやっても良い。母は神殿に迎えたがるかもしれないがな」

 ヤバい!ヤバいヤバい!それはリリベルが西の女神に似ている事を知って言っているのだろうか?


 「リリベル嬢」ザック殿下が心配そうに見ているが、殿下には余計な事は言わないで!と目で訴える。

 だがバラされようが、嫌なものは嫌だ。

 

 「国王陛下、そちらのお誘いも大変有難い事に存じますが、私は故郷を変えるつもりはありません。私が帰る場所も本来いる場所も子爵領と決めております」

 「意志は固いのか…。そうか、ならそなたが北に来るなら…」

 来るなら?直ぐに諦めてはくれないの?

 「子爵家にかかっている呪いを解いてやっても良い」

 「!!」何て事だ!

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