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 晩餐会が終わって皆、解散している。

 北の国王陛下は酔い潰れて運ばれて行ったが、酔い潰した当人はスッキリした顔で出て行った。

 確かに色々と真相は明らかになり、解決したかもしれないが何か後味が悪かった。それは予想した答えが全て明後日の方向を向いていたからだろう。


 そもそも母は親戚レベルでしか血の繋がらない兄と物凄く仲が良かった。母があまり北の事を語らないのは、いや会話自体したがらないのは言葉が訛るせいだ。

 青薔薇を処分したのも兄に対する八つ当たりで、実は処分しきれない薔薇がまだ残っていた。


 北の外交官の奴らにも腹が立つ。

 なぜ北に帰る時、母に特別な贈り物など、サプライズ的な事を言ったんだ!あの場で北の王の来訪予定さえ、ちゃんと言葉にしてくれていたなら変な誤解も無く、母もヤケを起こさなかった。

 そう考えるとリリベル嬢の介入が逆にマイナスだったのでは?


 いやっでも、彼女の介入のキッカケは防御壁への接触だ。

 しかも陛下は「壊そうとした!」とハッキリ言った。だったら彼女が取った措置は間違いではない。

 それに北の騎士達は白馬を子爵領に放すのではなく、やはり牝馬を囮にして、何かしでかす可能性があったかもしれないと陛下は認めたのだ。それも未然に防いだ事にはなる。


 そして無許可で勝手に用意された北の陛下の別荘。

 外交官達の家族が使用人として手入れをしていたらしい。

 何で秘密にしてたんだ?しかも国境近くの紛らわしい場所に。絶対、隠れ家だと思うだろ!

 そして彼らは全員がこちら側に亡命の意思を見せた。貴族から平民になるというのに。一体なぜだ?!


 答えはシンプルなのに、この“何故だ?”が全ての答えを複雑にしている。まるで考え過ぎたら負けだと言わんばかりだ。

 「王太子殿下、まだ晩餐会での事を考えてらっしゃるのですか?」

 「は〜。考えれば考える程、深みにハマるな。聡い君はどう考える?」

 「どうも思いませんわ。もう疲れました。それにリリベル嬢が解明して下さって良かったとも。我々ならあんなにスムーズに話して下さったか」

 「そうだな。マレシアナ、済まなかったな。リリベル嬢の事。ストレスを与えて揺さぶれば何か話すかと少しは思ったが、アイザックに言われたんだ。君を苦しめてまでやる事じゃないって。それにリリベル嬢はストレスを与えたら精神的に弱る前に逃亡するだろうってさ。そんな事をせずに南国フルーツを与えた方が素直に協力するだろうって言われたよ」

 「そうですわね。私もそう思いますわ」


 良かった。リリベル嬢が私のメッセージを、きちんと正しくアイザック殿下に伝えてくれて。

 王太子殿下は色々理由は付けておられたが、何だかんだリリベル嬢に構いたかったのだ。全く逃げられる寸前まで嫌われているにもかかわらず、自分のキラキラ王子の容姿を過信している。


 子爵家の面々は代々容姿端麗のようだ。

 北の王族、女神の血が流れているのだから当然だろう。だから王太子殿下の容姿も彼らには特別ではないはずなのに…。

 もうやめた。それより明日の貿易協定の会談に集中すべきだろう。


 外交の面々は、少し肩の荷が降りただろう。

 次は経済の方だ。経済大臣は外交側に理由をなすり付けて責めていたが、さあ自分はどう出るか?今頃慌ててないと良いが。

 まあでも、これを機に手を貸して彼に貸しでも作っておけばいいか。


 それにしてもリリベル嬢には“ギャップ萌え”というものが無い。これは男女に関係なく、人が人を魅力的に見せるのに使える技のはずだが…それが無いのにもかかわらず、どうしてあんなに人を魅了するのだろうか?

 人を魅了するのは“水色”の方じゃなかったか?また考えても分からないものに堂々巡りだ。横を見るとあんなに考え込んでいた夫は、もう寝息を立てている。

 「早っ!」マレシアナもさっさと寝る事にした。


 明日もリリベル嬢が上手く貿易の事も解消してくれないかしら?なんてね。

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