16
リリベルが色んなことを考えていると、生徒会長がリリベルをソファに座るよう促し、リリベルが座ると直ぐに本題に入る。
「皆、お忙しい方達ばかりだから、直ぐに本題に入らせてもらいます。まずはリリベル嬢」リリベルは呼ばれてビクッとなる。
やましい事と言えば野菜だけだが、生徒会長の話はリリベルの予想とは全く違う内容だった。
「あなたは植物のタネを魔法で発芽させ、その育成まで魔法で促すことができますね?」
「へ?」とリリベルが間抜けな返事をする。
「先程、2人からも話を伺いました。今年の学院内は去年より異様に花々が咲き乱れ、樹々も勢いが良いそうです。これもあなたの仕業なのでは?」
「えええっ?」
「更にあなたには学力試験、偽証の疑いもあります。以上の点で何か反論や弁明があったら伺います。どうですか?」
これまた意外な方向に話題が飛んだ。リリベルが何から答えればいいのか迷っていると、殿下が、
「リリベル嬢、先日、君がマメだとかの植物のタネを発芽させるのを見せてくれただろう?」と仰った。
「えっと」リリベルは嫌な汗をかく。
やはり野菜がバレたのだ。あの時インゲンを殿下に見せなければ…後悔先に立たずだ。
土魔法の教師が言う、
「リリベル嬢、学院内の花や樹々が普段より元気なのは君が原因なのかい?」
「えええっと…」
野菜達がバレないように繁らせましたと言ってもいいのか?
「君は学力試験を真面目に解かなかったのかい?」
と学院長が聞く。
「あ、それはそうです。でも答えの代わりに過去のいつ出題された問題なのか書いておきました」リリベルの返答に学院長が目を丸くする。
生徒会長が溜息を吐き「何の為に?」と聞いてくる。
「それは1組にならない為に…」リリベルは正直に言う。
確かに偽証は良くないが入学前の試験だし、リリベルは王族や高位貴族と関わらないという使命を帯びていた。
「1組に入りたくなかったのは、私がいると思ったからか?」と殿下が聞く。
「それだけじゃなく他の高位貴族もです」
もう正直に言うしかなかった。父さん母さんゴメンなさい。私はララベル姉様同様、退学のようです。でも妊娠はしていません。
子爵領に帰ってもいいですか?帰れると思うと、ちょっと気分が浮上してきたぞ。
「リリベル嬢、だったらどうして試験問題に過去歴を書いたんだい?書かなきゃ偽証はバレなかったはずだよ」
「えっだってわざと間違うの悪い気がして、せめて出題傾向が過去5年同じだよって言っておきたくて…」
私、墓穴掘ったの?