150
入学式後、2日間は新入生が学院に慣れる為に学院内を見学したりする為、他の学年も午前のみで授業が終わる。
しかし生徒会はこの間も仕事がある。
仕事と言っても今は新役員の選抜だ。
一応、生徒会長なのでザック殿下から、彼らが選んだ役員候補の説明を受ける。
2学年の役員はリリベル、ザック殿下、侯爵令息3人に伯爵令息1人、伯爵令嬢のリリアン様、オマケにシャーロット嬢だ。
例年、一学年の役員人数は5〜6人らしいのだが、2学年の人数が多いのは、恐らく子爵令嬢のリリベルとシャーロット嬢が想定外で入ったからだ。
ちなみに生徒会長は2学年の首席がなるらしいが、首席が1学年の時に生徒会に入っていなかった場合はどうなるのか?
そういう例は少ないらしいが、首席の学生を無理に生徒会に入れる事はしないらしい。本人の希望が無ければ、生徒会長は生徒会の中でトップの成績の者が会長を務めるのだそうだ。
殿下方が選んだ生徒は5名で、全員1組でまとまっていた。普通は例年こうなんだそうだ。
殿下が3組なんか選ばなければ…学力を偽ったリリベルも非があるので何も文句は言えない。
言える事は、何事も嘘は駄目だ。それが身に染みた一年だった。
新役員はザック殿下の側近候補にもなるので、殿下が選んだならリリベルに文句は無い。そもそも貴族達の名前を見たところでリリベルには何も分からない。だから説明を受けて、その場で了承した。
そして侯爵令息達が新たなメンバー候補に連絡し、わりと早いが明日の放課後、生徒会室で面会する事になった。
翌日の放課後、新役員候補が皆で生徒会室にやって来た。
5人の新入生の中で令嬢は公爵令嬢と恐らく傘下の令嬢なのか、伯爵令嬢も1人、後は侯爵令息1人に伯爵、子爵令息が1人ずつだった。意外に爵位も色々だ。
ザック殿下は王位を継ぐ可能性は今のところ少ないので、高位貴族よりも優秀な人材に焦点を置いたのだろう。
全員が生徒会入会の意志を示したので、一旦、仮の役員となり、何事も無ければ1ヶ月後には本生徒会役員として始動する。
皆で挨拶をし終わった後、マリアンヌ嬢がリリベルに
「なんで?どうして令息姿なの?!」と困り顔で言ってきた。
「ああ、髪が伸びたら、また令嬢に戻りますよ」とニッコリ微笑んで伝えると、令嬢は頬を染めながら
「なんか調子狂う…」と黙り込んだ。
「うん。何か企みがあったんですね。ご苦労様です」とリリベルは思った。
マレシオン様に「宜しく」って直接言われていたし、彼女が何か思惑や使命があって生徒会に入って来るんだろうとは予測していた。
それが殿下の婚約者の座か、他の何かか?きっと普通には過ごしてくれないんだろうなと思っていた。だから令息姿の間に仲良くなれるといいなとリリベルは少し思った。