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 今日から学院の前期新学期が始まる。

 リリベルが登校し新しいクラスが張り出してある掲示板まで行くと、すでに人がたくさん集まっていた。

 「リリベルさん!まだ、そんな格好して」シャーロット嬢が、令息用の制服を着たリリベルを目ざとく見つけて声を掛けてくる。


 「まだ髪が伸びないのでスカートが似合わないんです」と言うと

 「あちらはお似合いのようですけどね」とシャーロット嬢が言った先を見ると、男爵令息がリリベルがあげた姉のお下がりの制服を着てプリプリと歩いているのが見えた。


 「本当だ!全く違和感がないわ!」

 彼も髪が長い訳でもないのに、すごく似合っている。

 彼は卒業まで、あの格好で過ごすのだろうか?と見ていると

 「そんな事よりリリベルさん、また同じクラスですよ!良かった〜」と言われて瞬時に凹む。シャーロット嬢と速やかに別れたかったのに。


 その時「リリベル嬢!クラスご一緒です。良かった。生徒会の皆、1組になれましたよ」と侯爵令息達がリリベルの所にやって来た。

 「本当ですか?皆で勉強した甲斐がありましたね。1年間、宜しくお願いします」と言うと「生徒会でも宜しくお願いします。会長!」と返ってきた。


 「えっ会長?」って言うと「そうですよ。だってリリベル嬢が首席ですから」と言われた。

 「ザック殿下が会長じゃないんですか!?」

 「ザック殿下は惜しかったな〜。僅差でリリベル嬢が首席でした。生徒会長は2学年の首席がやりますから」

 何てこったい!


 リリベルは次の生徒会長は、ザック殿下がおなりになるのだと勝手に思い込んでいた。

 朝からダブルパンチで衝撃が強過ぎる。もう帰ったらダメだろうか…。魂の抜けかけたリリベルを皆が教室まで連れて行く。

 誰も助けてくれないのね。助ける訳ないか。普通なら喜ばしい事なのだろう。


 教室に入るとザック殿下はもう席に着いておられ、リリベルより先に挨拶された。

 「よう生徒会長!お早う。良い朝だな」

 リリベルが嫌がるだろうと思って、わざと言ってるな!


 「お早うございます、ザック殿下。これから殿下が生徒会長の私を支えてくれるんですねぇ。頼もしいなぁ」

 暗に今後は私の支えは要らないよね?と言ってあげると

 「そうか。私がこれからはお前を支えるんだな精進するよ」と仰ったが

 「お前を支える為に更に筋トレと鍛錬を頑張らないとなあ」と。


 そっちの支えじゃない!それに私は重いと!遠巻きにセクハラか!腹が立つ!殿下から遠い席に座ってやる!と周囲を見渡すと

 「リリベルさん、こっちこっち」とダイアナ様とリリアン様が手招きで呼んで下さった。

 ジャスミン嬢は残念ながらクラスが別れてしまったらしい。


 今日は担任の紹介と簡単にクラス内の自己紹介があって、2学年の授業内容や、選択科目の履修の説明があり午前で解散だった。

 だがリリベル達、生徒会は明後日の入学式の準備がある。


 ダイアナ様と別れ、リリアン様、シャーロット嬢と食堂に向かおうとすると、侯爵令息から声が掛かる。

 ザック殿下達といつもサロンで食事をされるので、一緒しないかと誘いに来て下さったのだ。サロンには各食堂から注文した食事が保温魔法と品質維持魔法付きで配達されるのだそうだ。

 でも殿下と食べるのか〜もう殿下は春休み中でお腹一杯だ。

 リリアン様とシャーロット嬢、二人を見るとシャーロット嬢にしては珍しく、どちらでも良さそうだったので、令息にはお断りをして3人でオシャレなカフェテリアに行く事にした。


 カフェテリアはまだ授業も始まっていない事もあり空いていた。

 3人で日当たりの良い窓側の席に行き、メニューを開く。


 今日も美味しそうなメニューばかりだ。

 いくら同じメニューが食べられるとは言え、食事の空間は大事だろう。まだ新入生もいない。カフェテリアは絶対空いていると思っていたから正解だ。


 ランチを注文し終わると、シャーロット嬢が

 「リリベルさん、殿下と倦怠期ですか?早く令嬢に戻らないから!」とまた余計な事を言う。

 だから向こうに加わろうって言わなかったのね。馬鹿らしいが、サロンに行こうと言い出さなかったのは有難い。

 

 「リリアン様、あれから生徒会長はちゃんと謝ってくれましたか?」シャーロットの事はいつものスルーだ。

 「はい。大丈夫ですよ。彼は真面目な方ですから。あれから直ぐにお詫びにいらっしゃいました」

 「どうしてリリアン様に?もしかして脅されたとか」

 「そんな事はありません。でもうちは公爵家の傘下ですから」

 そういう事か。子爵家はたまたま、どこにも組みしていないだけだったんだな。

 今まで貧乏な弱小貴族だから付き合いがなかったのだと思っていたけど……伯父か。筆頭侯爵家が盾だったんだ。

 

 でも、それ以前の代も今までよく生き残ってたなと考えている間に、リリベルが頼んだナスとズッキーニのホワイトグラタン、チーズ増し増しがやって来た。

 やはり女子だけの食事は楽しい。

 できれば今後も女子だけでと思っていると、4人席の一つ空いた席に座る人が居た。


 顔を上げると「デザートが必要だろう?リリベル嬢」

 「生徒会長!」「君が生徒会長だろう?」 

 なんと最上級生になったマレシオン様だった。しかも3段のアフタヌーンティーセットを持った店員さんを引き連れて。


 食後であったがシャーロット嬢もリリアン様も目が輝く。

 今日のセットは一番下の段もデザートになっている。しかも中央の段はいつもマフィンやスコーンだが小さな袋が3つ、可愛いリボンで結ばれ載っていた。

 

 「デザートは私からのプレゼント。でも食後だからあまり食べられないだろうと思ってね。真ん中のマフィンは持ち帰れるようにしておいた」これだよこれ!

 「相変わらず無敵の貴公子ぶりですね」と言うと、彼はフッと笑って

 「リリベル嬢はこれも必要だろう?」と手に何か持っている。

 「それは?」

 「入学式の生徒会長挨拶の原稿案だよ」忘れてたー!入学式の挨拶も生徒会長がするのね!?


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