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 久しぶりに会えたナル兄ちゃんとの対面も、まともに出来ないまま、いきなり侯爵夫人から凄い勢いで言われた。

 「リリベルちゃん、美しい侍従の第三弾を出さないと!嘆願書が凄いのよ!」

 「は?」「は、じゃないわ!第三弾よ!出して欲しいと希望が殺到しているの」

 「せっかく。綺麗に最後をまとめておいたのに。もう出さないつもりで」

 「綺麗に別れ過ぎちゃったから、いけなかったんじゃない?」


 なんだって!だって結ばれてもただの侍従だぞ!国への生産性が無いだろう。

 「もう探さないでくれ、貴方の為にって」

 美しくロマンチックに侍従が消えたのに、また掘り起こせと!

 今はムカつき過ぎて実物の王太子を消してやりたいが…


 「リリベル、怖い顔しているぞ」と兄が言ってくる。

 すでに本物の王太子と対峙してきた後だから、今は小説の話をしても殺意しか顔に出ない自信がある。

 「伯母様、侯爵夫人、また小説の件は考えるから、今はナル兄との再会を喜んでもいい?」

 兄と色々、語り合いたいなんて言ったら伯母達も首を突っ込んできそうだ。

 「そうね。リリベルちゃん。ナル君とゆっくり兄妹してね」いや、ゆっくりしなくても兄妹だけどね。

 

 伯母達は騒がしく部屋を出て行った。

 リリベルは「はー」と溜息を吐く。

 「懐かしいなぁ。夫人達のこの感じ。それで?何で髪切ったの?」

 「あ、これ兄ちゃんの服。兄ちゃんが昔着ていた服で、綺麗なままの丁度良いのが沢山あって」

 「そうか。この頃のは成長期であまり着てなかったしな。それで子爵領の件は少しアイオット様から聞いたよ。リリベルが守ってくれたんだな。ありがとう」

 「兄ちゃん、いいってことよ。だって私もその内帰る所だもん。何かあったら帰る場所が無くなるじゃない」


 「で、髪は?失恋か?」「そんなのじゃないし!」

 「王子か公爵令息じゃないのか?」

 「フン。公爵令息は振ってやったもん!」

 「おぉカッケェー!」 

 「兄ちゃんなら、絶対そう言ってくれると思った」

 「そうか」「うん。会いたかったよ」

 「そうか。ゴメンな。一人で頑張らせて」

 「ううん。侯爵領も大変なんでしょ?」

 「ああ子爵領なんか比べものにならない。貴族も伯爵家3家を筆頭に何家も抱えてる」

 「領地内に?」「そうだ。大きな街が4つはある。そこを傘下の貴族が治めてて、一つは港を持っていて大型の貿易船が何隻も毎日出入りしている」

 

 「伯父様は西に港があって暖かいよくらいにしか言ってなかったから、てっきり漁村かと」

 「漁師もいるけど、ほぼ貿易港だ」

 「リリベル、筆頭侯爵家がなぜ筆頭か分かってないだろ?」

 「腹黒だから?」

 「プハッ!それはある意味正解だけど、侯爵家の規模だよ。何で未だに侯爵家なのか分からない」

 「それは公爵に匹敵するってこと?」

 「大きな声では言えないが超えているだろうな。恐らくこの国で5つの指には入るやり手で資産家だ」

 「まあ東の国でもその片鱗は見たよ」「だろ」


 「兄ちゃんは侯爵家の仕事が面白いんだね。いいよ子爵家は私が守るから兄ちゃんは、やり甲斐のある方を頑張ればいいわ」

 「ありがとうな。リリ」

 「持つべきものは故郷愛の強い妹だね」

 「そうだな。で、何があったんだ?全て聞いてやるぞ兄ちゃんが」

 「わーい」


 私達は夜通し話をした。移動と王太子のせいで疲れていたはずだったのに、これまでの事、全て兄ちゃんにぶちまけた。

 兄ちゃんも、やっぱり知らない子爵家の事ばかりだったらしい。


 さすがに爺様の姉がオリベル王女だったとか、野生馬がスネイプニルとペガサスの子孫かもというのはビックリしていた。

 

 あと女神様がリリベルにソックリらしいと言ったら大笑いされた。

 「それ言わない方がいいぞ!女神様に失礼だろ」って。どっちが!

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