表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/181

135

 馬車は昼過ぎに王城に到着した。

 帰りも何事もなく無事に帰って来れて何よりだ。ザック殿下が御者と護衛の騎士達を労って彼らは解散した。


 その後、近衛騎士が迎えに「リリ〜お帰っ!!何だその頭!」

 ライ兄が半ベソになったがスルーだ。

 「ライ兄!ただいま」「お前、父より先にリリか!」

 「それを言うならザック殿下が先じゃない?」

 「もういい。兄上の所に行くぞ。お待ちだろう?」

 「公爵!ちゃんと仕事して下さい!」ガブリエラ様だけが真面目にお冠だ。


  ライ兄は謝りながら、慌てて先導する。公爵になっても、ちっとも変わらないんだな。まあそこが良い所なんだけど。

 向かうのは以前、訪れた王太子宮の応接室のようだ。


 ライ兄が扉をノックすると、今日も中からルト兄が扉を開けてくれたが、リリベルを見てギョッとしている。まあ驚くよね。

 いつも王太子殿下の所に訪問するとルト兄がいるけど、毎日侍らせている訳ではないよね?

 多分、リリベル達が来るからだろうか?

 子爵家に関係する話でもあるから、兄のことも呼んでくれているのかもな。


 中に入って皆で礼を取ろうとすると「ああ、礼はいいよ。早速、東の事を聞きたいけど…リッリリベル嬢か!?」と王太子殿下がリリベルを見て仰った。後半、声が裏返ったな。

 王太子妃様も目を丸くしている。

 「そうしているとララベル嬢には似てないんだな」と王太子殿下は仰った。

 昔は母とララ姉とリリベルは大中小の三つ子のようだと言われるくらい似ていたみたいだけど。そう言えば最近はマリィ姉に似ていると言われる。

 それって父様じゃない?微妙…。


 気を取り直して、また前回と同じ配置で着席する。兄もだ。

 「またポットを落とすと危ないだろう?」って王太子殿下が仰る。

 今回もフィリップ様がお茶の準備をして下さっている。

 お疲れのところ本当に申し訳ないなぁ。


 ガブリエラ様は王太子殿下に挨拶されて直ぐ、宰相閣下に報告に向かわれたので、もうお別れをした。

 きっと従姉妹だし、また近い内に彼女とは会えるだろう。次は結婚式だったりしてウフッ!とリリベルがトリップしかかったところで、ザック殿下が説明を始めた。


 ①南の隣国から、ペガサスは生きていて西に逃げたと報告を受けた事。

 ②そのペガサスが恐らく西でスネイプニルと番になっていて野生馬はペガサスの子孫でもあるかもしれない事。

 ③その報告を受けて東の神が元気を取り戻し300年振りに“神の司書”を選んだ。それが前侯爵の4番目の弟で東に帰化した伯爵である事。

 ④そして東から持ち帰った絵本の内容が真実の神々の言い伝えである事を伝え、絵本を王太子殿下に手渡された。


 ザック殿下もリリベルが女神に似ている事は黙っていてくれた。これは女神様がこの国で自身の姿を現していない事から、秘密にすべきだろうと馬車の中でも話し合った事だ。

 

 王太子殿下も妃殿下も鋭い方だ。ザック殿下やリリベル達が訪れたタイミングで司書が偶然選ばれたなんて、おかしいと疑ってくるはずだ。

 だがペガサスが子爵家に救われて子孫を残しているなら、それだけで神が喜んだという理由と西の国出身の伯爵が選ばれたという理由にするには十分なのではと話し合ったのだ。

 

 王太子殿下は「では東の神が司書を選ぶまでに気力を取り戻したのは、お前達がペガサスの生存と子孫の可能性を伝えた事によると?また伯爵が司書になったのもペガサスを助けた西に対する礼だと、そう言うことか?」と仰った。

 ザック殿下「その通りです」と申し上げる。

 「前侯爵、その通りか?」「第三王子殿下の仰る通りです」と伯父も同意する。


 王太子殿下は顎に手を当て「そうか」と考えている。

 その時、絵本をめくっていた王太子妃様が「キレイな絵本だわ。内容も幻想的で素晴らしいわ」と仰った。

 そこでザック殿下が、伯爵が“神の司書”として、こちらの国にこの絵本を、神々の真実として配布しに来訪する予定だと伝えると

 「東側がやってくれると言うの?」と仰った。


 「私も手伝うがな」と伯父が言う。

 「我々だけでやると言いたいところだが、運搬を侯爵家でやる。だから…「通行証ね?検問所を素通りできる…王太子殿下!」

 「分かったよ。あちらの準備が整ったら知らせてくれ」

 「助かるよ。あと今回の旅も快適だった。礼を言う」

 「こちらこそだ。それでリリベル嬢は納得したのかい?知りたい真実は分かったかい?」

 「はい。神々の仲が悪い訳じゃなくて安心しました。そして南の誤解も解けて良かったです」

 「そうか」

 だが、なぜか王太子は納得していないようにリリベルを見てくる。

 イヤ〜な予感しかしない。早く帰りたい!!

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ