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 お買い物を楽しんだ後、街中を少し散策して伯爵邸に戻ると、伯父も戻って来ていた。

 今日は帰ってこないかもしれないと思ったのに、お客様が来ているからと陛下の配慮で帰らせてもらったらしい。

 そりゃリリベル達はまだしもザック殿下がいるのだ。流石に王族がいたら当主は返さないとだよね。


 伯爵はリリベルに「これは王女殿下がプレゼントのお礼に君にって」と言って絵本を受け取った。

 子供用だが挿し絵がとても美しい。絵本のページを捲ると殿下方が教えてくれた三人の神様の話だった。これ何冊か欲しい!


 ザック殿下が「王女に何をプレゼントしたんだ?まさかあの小説「違いますよ!」速攻で否定する。

 4歳の王女殿下にそんなものあげるはずがない。


 それよりも「伯父様、この絵本何冊か欲しいです」神殿や学院の図書室などに寄贈したい。そういえば、街に行った時に本屋にも寄れば良かったと後悔する。

 「西に戻る時に通り道の本屋に寄るといい。一般的な本だから、どの本屋にも大抵あるよ」と仰ったが

 「もし西の国に広くその絵本を広めたいなら、もっと必要だね。神殿で販売できるようにしようか?」と言って下さった。


 神様の話だから絶対、それが良い!リリベルのキラキラの目を見た伯爵様は「じゃあ夕食前に少し話をしよう書斎においで」と言って下さった。


 伯爵様の書斎にはリリベル以外に伯父とザック殿下も付いて来た。殿下は自国に影響する事だから把握しておきたいそうだ。確かにそれもそうだ。

 そして伯爵のご嫡男様もお越しになった。

 

 皆が揃うと伯爵様は第一声で「私はまず伯爵位をお前に譲ろうと思う。子供が産まれたばかりで大変だと思うが、妻も手伝ってくれるはずだ」とご嫡男様に仰った。

 恐らくご嫡男様は予想されていたのだろう「分かりました」と仰る。


 「私はこれから神様の司書に専念する。その最初の仕事を我が元祖国に、神々の真実を伝える本を広める事にしようと思う。神様もきっと応援して下さるだろう」と仰った。

 神様の司書に選ばれた伯父が動いてくれるなら、きっと広まるのも早いだろう。


 「こっちの国で本は用意するよ。それを運搬しないといけないが」

 「それは私がやろう。もちろん無償でだ」と伯父が申し出てくれた。

 「兄さんが、やってくれるなら話も早い!」

 「私が大神殿には話を通します」とリリベルが言うと

 「なら私は王家にも報告しておくから大丈夫だ」とザック殿下が仰ってくれた。


 「おぉ、随分スムーズに話が進んだ。各部門に精通した人がいると助かるな」と伯爵様は言って笑った。

 リリベルも嬉しくなった。


 伯父の書斎は想像通りで沢山の本が壁中にびっしり並んでいるが、伯父の机に一番近い所に“ノースポール探検記”があるのが見えた。

 リリベルは思わず「伯父様、これノースポール探検記だ!」と言うと「ああ私の本好きの原点になった本なんだよ」と仰った。


 元々は小さい頃、3番目のお兄様から誕生日のプレゼントに貰ったそうだ。お兄様自身はノースポールベアの方に興味があったそうだが。

 確かに剥製を貰ったし彼の屋敷にも飾ってあった。


 “ノースポール探検記”とは南の隣国出身の探検家が、氷の大地に憧れて2頭の犬を相棒に北を探検する内容を体験記として書いたノンフィクションだ。

 2頭の犬達の名前が“タロウとジロウ”なのだ。

 リリベルが双子の野生馬に付けてしまった名前だ。


 この探検家は北の大地だけでなく西にも東にも訪れたらしい。彼は探検家だからどこにでも冒険したのだろう。

 だから南との国交が細る中でも、彼の冒険記は東西の国でも読まれている。


 伯父が「リリベルは双子の野生馬にタロウとジロウと名付けている」と言うと、伯爵様は

 「そうなのか!ペガサスの子孫に南の国の名前を付けたんだな」と笑った。

 ザック殿下が「南の国では代表的な名前で長男にタロウ、次男にジロウと付けたりするそうだ」と教えてくれた。という事は

 「ジロウが先に亡くなったら、ジロウがタロウになるの?」って聞いたら、殿下は「?」となっていて、伯父は眉間に皺を寄せて

 「子爵家と一緒にするんじゃない!」って叱られた。そうなの?

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